14年後には2,300万戸!? 「空き家」が全国で急増中。放置すると何が起こる?いま知っておきたいこと
最近よく聞く「空き家問題」。今住んでいるのとは別に実家があり、いずれ相続が発生する人たちにとってはけっして他人事ではない問題です。しかし「親はまだまだ元気だから」「何がどう問題なのかよくわからない」と、あまり身近に考えられない人も多いでしょう。そこで「空き家活⽤株式会社」の代表で空き家アドバイザーの和田貴充さんに、前後編で今起きている空き家問題について解説してもらいました。
2038年には3軒に1軒が空き家になる!?
いつまでも健在だと思っていた親が急に亡くなる。――あまり想像したくありませんが、誰にも起こりうることです。 悲しみにくれる間もなく降りかかるのが、物が溢れかえった状態の実家をどうするのか、の問題。しかし亡くなった親の意向もわからず、兄弟で意見もまとまらず、とりあえず一周忌が終わったら、三周忌が終わったら、子どもがもう少し大きくなったら……とずるずる先延ばしにして、気づいたら10年。 その間、固定資産税や庭の剪定などの管理費は、発生し続けています。やらなければいけないことに手をつけられない自分に、後ろめたい気持ちも増していく一方です。 結局すべて処分し、売ることに。しかし遺品整理や片付けだけで、気の遠くなるような作業です。業者に頼もうと見積もりを出してもらったら100万単位に……。 このように家族の心がなかなか決まらず、放置されて空き家になってしまう例が全国的に増加していると和田さんは言います。 「野村総合研究所が2022年に発表したレポートでは、2038年の国内の空き家総数は2,300万戸を超える可能性が高いとシミュレーションされています。 なぜ今、空き家が増え続けているのか。理由の一つは、日本人の“新築信仰”がいまだ根強く、人口減少にもかかわらず新築物件の数が増え続けていることが影響していると私は思います。特に今は団塊世代の相続が進んでいるタイミング。団塊世代の子どもも別に家を持っているケースが多いので、親の世代が建てた家にはあまり戻りません。これが空き家が急速に増加している理由です。 もう一つ、実は一番多く見られる放置の理由は『手をつけるのが面倒だから』。兄弟や親戚間で意向がまとまらず、何かすると揉め事になってしまうから手をつけられないケースもあります」(以下「」内、和田さん) こうした理由から約10年後には、3軒に1軒が空き家という時代がやってくるというのです。