14年後には2,300万戸!? 「空き家」が全国で急増中。放置すると何が起こる?いま知っておきたいこと
放置した結果2,000万円の出費という例も…「一刻も早く動き出すべき」
しかし、そもそも、なぜ空き家を放置してはいけないのでしょうか。 和田さんによると、主に金銭面と治安面で放置のデメリットがあるとか。 「まずは金銭面について。誰も住んでいなくても、物件維持にはお金がかかります。月々だとさほど気にならなくても、累積すると500万、1,000万といった金額に。10年以上放置した結果、トータル2,000万円かかったという例も珍しくないのです。 さらに家は住む人がいないと、どんどん傷んでいきます。雑草が生え樹枝が伸び切るなど景観悪化にもつながり、イタチやハクビシンなどの獣害も。治安悪化から近隣住民にも迷惑をかけることになります」 先延ばしにすればするほどお金がかかるし、周りの人たちに迷惑もかける。だからこそ、実家については「相続したらなるべく早くに動き出したほうがいい」と和田さん。 「相続した日が一番家がきれいで、資産価値も高いからです。 どれほど決断を先延ばしにしようが、結局いつかは実家を売ることになります。処分を終えた家の所有者さんは大体晴れやかな表情をしていて、必ずといっていいほど“もっと早く手をつければよかった”と言います。ただ放置しておくだけでは一生、心の整理はつかない。だから一刻も早く動き出す必要があるのです」 とはいえ、親を亡くしてすぐのタイミングでは心も落ち着かず、なかなか動き出せないでしょう。だからこそ親が元気なうちに、実家が空き家になる日に向けての心構えや準備を始めるのが良いと語る和田さん。 では親が健在なうちから、どのような準備をしておくべきなのか? 後編でお伺いします。 取材・文/塚田智恵美
【取材協力】
和田貴充 空き家活用株式会社 代表取締役CEO。 1976年生まれ。24歳で不動産業界へ飛び込み、2015年には空き家活用株式会社を設立。自社で空き家調査を行い16万件のデータを収集。そのノウハウを活かし、自治体サポートサービスを開始。自治体が自ら空き家を調査し閲覧・管理ができるアプリケーション「アキカツ調査クラウド」を提供。YouTube「ええやん!空き家やんちゃんねる」では空き家情報を発信し利活用希望者とマッチングを実現している。空き家の相談専門カウンター「アキカツカウンター」も運営。
【参考】
『今すぐ、実家を売りなさいー空き家2000万問題の衝撃』 著/和田貴充 (光文社)
塚田 智恵美