ホンダ「CR-V」が燃料電池自動車になって日本で復活! 誰向けのクルマ?
ホンダのSUV「CR-V」が日本市場で復活を果たしました。ただし、中身は燃料電池自動車(FCEV)です。水素で走るFCEVはなかなか普及していかない印象なのですが、今度の「CR-V e:FCEV」は誰向けのクルマなのでしょうか? 実際に乗って開発陣に話を聞いてきました。 【写真】めったに見られない? 水素充填中の「CR-V」を写真で確認
■どんなクルマ? CR-V e:FCEVは「プラグイン機能」付きのFCEVです。基本は水素で発電した電気でモーターを回して走るので、乗った感じとしては電気自動車(EV)に似ています。水素満タンで約621kmを走行可能だそうです。燃料電池(FC)システムはホンダが米ゼネラルモーターズ(GM)と共同開発しました。 CR-V e:FCEVで特徴的なのは、最近増えつつあるプラグインハイブリッド車(PHEV)と同じく、外部から充電できる駆動用バッテリーを搭載していることです。こちらに充電しておけば、水素を使わずに、電池に貯めておいた電気だけでEV走行することが可能です。つまり、バッテリーを定期的に充電できる人であれば、普段の移動はバッテリーに貯めた電力で賄えるので、頻繁に水素ステーションに出かける必要がありません。水素でしか走れないFCEVはかなり敷居の高いクルマですが、プラグイン機能のおかげ敷居は確実に下がったといえるでしょう。 バッテリーはフル充電で約61kmを走行可能(WLTCモード)。水素も電気も満タンなら全部で700km近くを走れるクルマです。 ■乗った感じは上質なSUV 乗りこんで最初に感じたのは車内の広さでした。横方向の広さが印象的で、とてもゆったりとした雰囲気です。大きなSUVに乗っている感じがしっかりと感じられます。
試乗車には水素も充電も半分くらい入っていました。バッテリーに電気があれば、基本的には水素を使わずEV走行してくれます。走ってみると静かでスムーズで、乗り心地は快適そのもの。段差を乗り越える際は衝撃を滑らかにいなしてくれるので、乗り味は「上品」な感じです。開発陣によると、FCEVに必須の燃料電池(FC)スタックや水素タンクなどは重い部品なので、FCEVはどうしても重いクルマになってしまうのですが、その重さをいかして開発することで上質な乗り味のクルマに仕上げることができたといいます。 街中でよく使う速度域での動きは俊敏で、信号待ちからの加速や車線変更の際の加減速はとてもスムーズ。高速道路ではかなり強めの加速を試してみましたが、力自慢のEVとは違って加速はマイルドで、決して遅いわけではないのですがワープするような速さでもなく、極めて常識的な動きをしていました。 乗ると普通にいいクルマなので、ホンダの大きなSUVが欲しいと思っている人はCR-Vを検討してみる価値があると思います。日本で買えるホンダのSUVで最も大きなクルマはCR-Vということになります。ただ、CR-Vにはエンジン車、ハイブリッド車、PHEV、FCEVがありますが、日本で買えるのはFCEVのみです。