俳優の伊藤孝雄さん死去 87歳、多臓器不全 劇団民藝で50年以上活躍 NHK大河にも出演
劇団民藝は9日、演技部に所属していた俳優、伊藤孝雄(いとう・たかお)さんが、昨年8月14日に都内の自宅で多臓器不全のため死去したと発表した。87歳。葬儀は昨年8月18日に家族のみで執り行われた。 【写真】1978年、三越劇場「さ・よ・な・らを云ったあとで」の稽古をする相手役の伊藤孝雄(左)と有馬稲子 伊藤孝雄さんは1937年1月31日生まれ、岩手県出身。早大法学部中退。63年俳優座養成所(12期)を卒業後、劇団民藝俳優教室に入所し65年劇団員となった。 民藝での初舞台は64年ベーハン作「人質」レスリー・ウィリアムズ役。67年にサルトル作「汚れた手」ユゴー役と木下順二作「白い夜の宴」一郎役で紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞した。 主な舞台は、チェーホフ作「かもめ」トレープレフ、小山祐士作「泰山木の木の下で」木下刑事、清水邦夫作「わが魂は輝く水なり」斎藤五郎など多数。 最近の舞台では吉永仁郎作「静かな落日」広津和郎(2001~14年)、池端俊策・河本瑞貴作「正造の石」田中正造(19年)、最後の舞台は吉永仁郎作「集金旅行」津村家の番頭(20年)だった。 映画は「密会」(59年、日活)川島郁夫、「獣の戯れ」(64年、大映)梅宮幸二、「戦争と人間 第一部」(70年、日活)標拓郎など多数出演。テレビドラマ出演や吹き替えでも幅広く活躍し、1979年のNHK大河ドラマ「草燃える」で阿野全成役、83年の同「徳川家康」で織田信秀役、92年の同「信長 KING OF ZIPANGU」で千利休役、85~86年のNHK時代劇「真田太平記」では上杉景勝役を務めた。