驚くべき進化を遂げたスニーカーのソールとは?【歴代の名作と振り返る】
衝撃を吸収することを主な役割とするスニーカーのクッショニング。その歴史を紐解くと、最初は硬い革紐が最高のクッション材だった。1890年代に入るとゴムが登場し、数十年にわたりクッショニング界の頂点に君臨する。しかし1972年、ナイキ「コルテッツ」のかかと部分に「エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)フォーム」が採用されたことで、新たな時代が幕を開けた。 【写真集】庭のホースから着想を得たシューズも!クッションにこだわったスニーカーまとめ
ナイキ「エア」 | 1978年
1978年の「テイルウィンド」で初めて導入され、1987年の「エア マックス 1」で可視化されたナイキのエアテクノロジー。シンプルながらも革新的な技術により、世界最大のフットウェアメーカーであるナイキのあらゆるカテゴリーの商品に浸透し、熱狂的なファンを生み出す原動力となった。 現在、ナイキは調整されたエアと独自のフォーム、カーボンファイバープレートを組み合わせることで、重量やクッショニング、そしてエナジーリターンといった特性を自在に調整している。2025年に発売される予定のランニングシューズ「ペガサス プレミアム」の新モデルでは、ブランド初の彫刻のような可視化されたエア ズームユニットが採用される予定だという。
アディダス「ブースト」 | 2013年
発売から10年以上経った今でも「アディダス ブースト」として知られるこのフォームは、アディダスがパフォーマンスフットウェアにおいて重視する高エネルギーリターンの象徴となっている。BASF(ドイツの総合化学メーカー)との提携により2013年に誕生したこのクッショニング素材は、数千個のカプセルとEVA、TPU(熱可塑性ポリウレタン)により、耐久性と耐熱性をまとめて獲得したのだ。 2024年夏に発売された「ウルトラブースト 5」などのランニングモデルには、最新バージョンである軽量ブーストを搭載。またアディダスはミッドソール内のブーストテクノロジーの配置を調整することで安定性をさらに高めるなど、常に進化を続けている。
ニューバランス「フューエルセル」 | 2018年
ニューバランスは1980年代にEVAにポリウレタンを添加することで、クッショニングの改良に取り組みを開始した。その後1990年代にはデュポン社と共同で「アブゾーブ」と呼ばれるイソプレンゴムを開発。2011年にはスポンジのような感触の「レブライト」を、2014年には安定性とクッション性を向上させるためにEVAフォームに射出成形による熱加工を施した「フレッシュフォーム」が登場している。 そして2018年にフューエルセルが加わったことで、エナジーリターンと軽量化に焦点が当てられるように。2024年にはパリ五輪のトライアスロン競技でアレックス・イー選手(イギリス)が金メダルを獲得した際に着用していた「フューエルセル SC Elite v4」に「PEBAフォーム」が導入された。