東京・中央区に喫煙所が多いワケ…オーバーツーリズム時代に考える「訪れる人、働く人、住む人が共存する都市」
街の理解を得ながら
中央区が、先駆けて手厚い制度を設けた理由はなんだったのか。中央区保健所生活衛生課長の武藤智宣さんはこう言う。 「もちろん来訪者増加にともなう喫煙所の必要性もありますが、中央区では多くの人が働いており、その従業員の方々のため、という意味合いもあります。勤務するビルの中に喫煙所がなくて、昼食のついでに裏通りで喫煙するなど、分煙や景観の観点から望まれない状況が一部で起こっていました」 「吸い殻のポイ捨てが多い街は、路上喫煙を誘発してしまいがちです。そこで『中央区たばこルール』を守っていただくためにパトロールをし、その最中にごみを拾って、街の景観を保っています。 喫煙所の設置は、何よりも街の方々からの理解があってのことですので、密に連携をとりながら進めています」(武藤さん) 連携しながら街の景観を守る「旦那衆」の文化は、形を変えながら今も銀座、そして中央区に継承されている。たばこを吸う人も吸わない人も気持ちよく過ごせる「次世代のインバウンド都市」のモデルは、ここにあるのかもしれない。
現代ビジネス編集部