ロッテ・佐々木朗希はメジャーで通用するのか 日本では規定投球回に一度も到達せず 評論家が分析
ロッテは9日、佐々木朗希投手(23)のポスティングシステムを利用してのメジャー移籍を容認する決定を下した。ただ、高卒5年目右腕はこれまで一度も先発ローテを1年間守ることができず、規定投球回に到達したこともない。果たして、日本よりも登板間隔が短くなることが多いメジャーで通用するのだろうか。 大船渡高から2019年度ドラフト1位で入団したが、入団1年目は体作りがメインで1軍登板は1試合もなかった。2年目は11試合に登板して3勝2敗、3年目に史上最年少での完全試合を含む9勝を挙げたが、それでも投球回は129回1/3と規定投球回に届かず。5年目の今季は初めて2桁10勝を挙げたものの、コンディショニング不良などでたびたび離脱し、投球回は111イニングにとどまった。 上半身の疲労回復遅れ、右腕のコンディショニング不良で戦列を離れた今季。プロ入り後から地道なトレーニングを積んで少しずつ線の細さが解消され、身長192センチ、体重92キロの体まで仕上げてきたが、最速165キロの快速球を投げ込み続けることに耐え得る肉体にまでは完成していないということだろう。 阪神OBの中田良弘氏は「まずはロッテの英断に佐々木は感謝しないとね。大谷や山本由伸(ともにドジャース)がしっかり日本で実績を残し、チームからもファンからも行ってらっしゃいと快く送り出されたのとは状況が違う。実質4年間しか働いていなくて、果たしてチームに恩返しができたのかと言うと決してそうではないという意見もある中で、球団はメジャーに送り出す決断を下した。チームとすれば佐々木が抜けるのはとても痛いはずなのにね」と語った。 現実問題、佐々木はメジャーで通用するのかについて中田氏は「ボール自体は通用するよ。間違いなく。球種は少ないけど、真っすぐ、スプリット、スライダー、それぞれが十分に武器になってる。WBCでも準決勝のメキシコ戦で3ランを浴びるシーンもあったけど、全体的にはメジャーと同じWBC球にも対応できていた。問題は体力面じゃないかな」と指摘する。 「日本で一度もローテを守り切ったことがなくて、メジャーに行けば日本より登板間隔が短くなる可能性がある。少しの間は耐えられるかもだけど、それを1年間ずっと続けられるかと言われれば、それは大いに疑問だと言わざるを得ない。何よりも、故障につながってしまうのではという心配が持ち上がる」と、未経験の登板間隔を続けることが大きな故障を引き起こす原因になりかねないとの懸念を示した。 阪神時代に先発投手として中4日を経験したこともある中田氏だが、「やっぱりね、中6日を基本としてやってる中で、中4日、中5日となると、体力的にもきついし、精神的にもしんどいんだよね。登板間隔が短くなることでやりたいこともやれなくなるし、心の余裕も奪われるんだよ。体の疲労回復ができない時もあれば、心の回復が間に合わないこともあった」と振り返る。 間違いなく佐々木獲得に向けて入札するメジャー球団は現れるだろう。25歳ルールによりマイナー契約しか結べない右腕にとって、年俸、待遇、環境などの条件よりも、登板間隔、起用法といった実務的な球団提示が、新たなチームを選ぶ上で大きな決定材料になるかもしれない。(デイリースポーツ・鈴木健一)