松坂桃李、初の日曜劇場主演作『御上先生』で“覚醒”? 若者たちとの熱い共闘で生む力
松坂桃李の代表作『孤狼の血』に刻んだ“動”のパフォーマンス
硬軟自在な演技で“静”も“動”も繊細かつ大胆に表現してきた松坂だが、硬派なキャラクターを動的なパフォーマンスで体現した最たるものは、やはり『孤狼の血 LEVEL2』の日岡秀一だろう。あの作品では最初から最後まで松坂は覚醒状態にあった。それでも松坂の独壇場にならなかったのは、同作に参加した俳優たちの誰もがエネルギッシュな演技に徹していたから。個性的なキャラクターも多かった。松坂はつねに覚醒していなければ、まさに“食われる”状態にあったのだと思う。 この『御上先生』で期待できるのもそのようなポイントだ。これは学園モノでもある。学園ものは未来ある若き演技者たちの宝庫。菅田将暉が主人公の高校教師を演じた『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(2019年/日本テレビ系)に生徒役として集った者たちの姿を思い出してほしい。そして、その者たちが現在のエンターテインメント界においてどのような存在になっているかも。今作にも精鋭たちが揃うに違いない。つねに松坂が覚醒状態でいなければバランスが崩れてしまうような、そんな「日曜劇場」を私は観たい。あなたはどうだろうか。 本作の脚本を手がけるのは、松坂の代表作のひとつである『新聞記者』(2019年)でもタッグを組んだ詩森ろば。同作もまた、巨大な権力に挑む者たちの物語だった。来るべき2025年の頭から、『御上先生』はこの社会に対して勝負を挑む。その先頭に立つのが松坂桃李なのだ。すでに胸が熱い。
折田侑駿