「目標は5ゴール」憧れの先輩・山根視来のような点も取れる右SBへ。J3の福島で成長する松長根悠仁が見据える理想像【インタビュー後編】
今季、記憶に残るゲームは
大勝した11節の岩手戦(〇9-0)では、嬉しいプロ初ゴールを決めた。 相手ペナルティエリア内左サイドで、左ウイングの森晃太との連係からCF樋口寛規がマイナス気味にグラウンダーのクロスを入れると、エリア内に入っていた右SBの松長根は上手く左足で合わせてみせた。 しかし、今季戦ったゲームでより印象に残っているのは、6節の富山戦(△0-0)のほうだという。 「富山戦は、自分のところでチャンスがあったのに決め切れなかった。結局引き分けに終わりましたが、自分が2、3回迎えたチャンスでしっかり取っていれば勝てた試合でした。悔しさが残っていますね」 自らが輝いたゲームではなく、悔いを残したゲームを挙げるのが、なんとも松長根らしい。 「天狗になること? 僕はないですね。そんな時間があるなら練習したほうが良いなと。そりゃ小学生の頃などは自分がヒーローになる試合がありましたが、今は悔しいというか、そういうゲームのほうが覚えています」 そこには、先日のパリ五輪で輝いたCB高井幸大、同じく福島で奮闘する大関ら、同期たちの活躍を目にしての刺激もあるのだろう。 「理想で言ったら、守備では自分のサイドから決してやらせない選手。そして攻撃でも自分のサイドから決定的な仕事をできる、そういう感じになりたいです」 そのなかで、最もテンションが上がる瞬間としては、「一対一で完全に自分が勝った時」と話す。 その背景にはアカデミー時代に指導を受けた、かつて川崎やFC東京などでプレーした佐原秀樹コーチの教えがあるという。 「アカデミーの時には佐原さんに対人のところを口酸っぱく言ってもらいました。だからこそ一対一の守備は、自分のなかで大切にしているポイントですね」 なおかつ今は、そこに攻撃面のプラスアルファをしようとしている。 「まだ1ゴールですからね。今年の目標は5ゴール。それを達成できたら、少しは自分を褒められるのかもしれません」 粘り強い対応、気持ちのこもったプレー、そして川崎育ちらしい攻撃のビジョン。まだまだ荒削りではあるが、右SBの新たなタレントとして、楽しみな存在であることは間違いない。 高井、大関らと日本を代表するプレーヤーに。そんな夢を抱くのは私だけだろうか。 ■プロフィール 松長根悠仁 まつながね ゆうと/2004年9月14日、神奈川県生まれ。川崎U-12―川崎U-13ー川崎U-15―川崎U-18―川崎―福島。アカデミー時代は主にCBを務め、プロではSBを極めることを決意。日々、研鑽を積んでいる。 取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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