【みやこS回顧】ダート三冠の価値を高めたサンライズジパング 自ら動き3歳馬らしからぬレースぶり
貴重なレガーロ産駒アウトレンジ
2着アウトレンジはこのレースの好走パターンである前走ラジオ日本賞【1-0-2-1】(過去9回)に該当し、11番人気2着と穴を提供した。最大の好走要因は隣に先手を主張するミトノオーがおり、うまく番手をとれたところにある。 先行しそうな馬が複数いる重賞で、先行できない可能性があるなか、絶妙な並びで番手をとれた。先行馬に厳しい流れのなか、ミトノオーを競り落とし、一旦先頭に立つなど見せ場たっぷり。こちらもまだ4歳。この経験を糧にこれから強くなる。 父レガーロの血統登録数はわずか8頭。JRA唯一の産駒アウトレンジが重賞で好走したのはすばらしい。父はエーピーインディ系バーナーディニで、母は米国GⅠ馬サンタテレジータ。血統背景は申し分ない。エーピーインディ系特有の型にはまらないと力を出せない面はあるかもしれないが、今後は展開や並びを見定めたい。 3着ロードアヴニールも同じく4歳。前走は逃げたが、本来は脚を溜められる。ペースを読み、先行集団と絶妙に距離をとったことで、末脚につながった。 時計勝負に課題を残していたが、1:49.8に対応できたのもポイントだ。JRAの中距離重賞は総じて時計が速く、スピード色が濃い。この路線で活躍するなら、時計勝負は必須だ。叔父にロードカナロアが要る血統でスピード色も出てくるだろう。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。
勝木淳