【感染症ニュース】2025年1月は新型コロナウイルス感染症が増加か? 一部医療機関では高齢者を中心に入院例が増加… 医師「高齢者は注意が必要な感染症。周囲も配慮を」
厚生労働省が令和6年12月27日に発表した令和6年第51週(12/16-22)の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について」によると、全国の定点当たり報告数は5.48。前週から約40%増になりました。年明けには冬の本格的な流行が懸念されています。 【2025年】1月に注意してほしい感染症!新型コロナ変異株XEC流行に注意 医師「社会の一部からの声に惑わされるべきではない」 インフルエンザ冬休み明けの動向要注意 ◆北海道、東北など北日本がより流行傾向に 都道府県別では、沖縄を除く46の都道府県で前週より増加。報告数の多い都道府県は、北海道14.33、岩手12.76、茨城9.68、秋田9.42、宮城9.32、山梨8.95、長野8.19となっており、北日本で多くなっています。 感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は「最新データは12月中旬のものなので、現在どのような流行になっているのかはわかりませんが、当院においては1月に入って新型コロナウイルスに感染している入院患者が増えており、先日も、1日で4人の方が入院されました。基礎疾患を持っている60代の方や、90代の高齢者の方などで、依然として新型コロナウイルス感染症は高齢者や基礎疾患をお持ちの方にとっては命に関わる感染症であると認識しています」と語っています。 ◆新型コロナウイルス感染症とは? 新型コロナウイルスは感染者の口や鼻から・くしゃみ・会話のときに排出されるウイルスを含む飛沫、またはエアロゾルと呼ばれるさらに小さな水分を含んだ状態の粒子を吸入するか、感染者の目や鼻、口に直接に接触することにより感染します。一般的には1メートル以内に近接した環境において感染しますが、エアロゾルは1メートルを超えて空気中にとどまりうることから、長時間滞在しがちな、換気が不十分で混雑した室内では、感染が拡大するリスクがあることが知られています。感染すると2〜7日の潜伏期間のあと、咽頭痛、鼻汁・鼻閉、咳といった上気道症状に加え、倦怠感・発熱・筋肉痛・頭痛といった全身症状が生じることが多く、その症状はインフルエンザとよく似ています。オミクロン株が主流となった現在は、嗅覚・味覚障害の症状は減少しています。軽症の場合は1週間以内に症状が軽快することが多い一方、発症から3か月を経過した時点で何らかの症状が2か月以上持続し、他の疾患による症状として説明がつかない場合には、罹患後症状(後遺症)の可能性を考える必要があります。 ◆オミクロン株以降の流行では、若年層の感染も増える 新型コロナウイルス感染症は、流行当初は高齢者などが流行の中心で、若い方の患者報告数は、比較的少ない感染症でした。しかし、オミクロン株以降の流行では、若年層の発症も増えています。第51週の年代別の定点当たり報告数を見ると、10歳未満から80歳以上まで、いずれの年代でも報告されていて、10歳未満が2877例、80歳以上が3424例となっています。また、40代が3141例、50代が3606例と、働き盛りの年代の報告も多くなっています。ただし、入院患者の届出数では10歳未満が184例に対し、80歳代は3060例となっており、重症になる割合は圧倒的に高齢者が高くなっています。 安井医師「新型コロナウイルス感染症について、注意が必要なのは高齢者です。オミクロン株以降の流行では、若い方からも患者報告があがっており、学校などでの新型コロナの集団感染例も報告されています。若い方が、家庭などに持ち込むことによって、高齢の方が感染する機会も増えると考えられます。2024年12月の患者報告数は、多くはありませんでしたが、この年末年始に、親族で集まった際に、若い方が感染していた場合、高齢の方に感染が広がることもあるかもしれません。また、感染対策も、以前より、おろそかになっている部分があり、そういった方が高齢者施設を訪問・お見舞いした場合に、施設で集団感染が起こる可能性もあります。高齢者や基礎疾患のある方、そして、それらの方に接する可能性がある方は、引き続き感染対策に十分注意していただければと思います。自身に体調不良を感じたら、訪問を見合わせるなどの配慮も必要です。2024年末はインフルエンザが猛威をふるいましたが、年明けに一段落した後に、新型コロナの流行が本格化すると予測しています。外出から帰ってきたら手を洗う、部屋の換気をこまめにするなど、感染対策を十分に行っていただければと思います」 引用 厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について令和6年第51週(12/16-22) 取材 大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏