映画「私にふさわしいホテル」主演・のんさん×原作・柚木麻子さん対談 文学界をのし上がれ!ヘンテコ大作戦
「今日もどこからか声が…」
――のんさんは、かねてより堤監督の作品に出てみたいと思っていたそうですが、撮影現場でご一緒してみていかがでしたか? のん 本当に面白かったです。堤監督はこれまでの作品からも感じていたヘンテコなシチュエーションや、少しB級っぽいシーンをおしゃれにスタイリッシュにかっこよく撮られるところがとても魅力的。ダジャレがお好きなので、よく現場でもダジャレをおっしゃるんですが、そのダジャレもなんだかすごく高級な言葉に聞こえてくるんです(笑)。現場のどこかにスピーカーが置かれていて、カメラが回り始めたら、そのスピーカーから監督の演出が聞こえてくるんですよ。「今日はどこから声が聞こえてくるんだろう?」と、スピーカーを探すのが日課でした。 ――堤監督はキャストのみなさんがお芝居をする場所から離れたところにいて、撮影する場所のどこかにいつもスピーカーが置かれているんですね? のん そうです。たとえば山の上ホテルのカーテンの影に置いてあったり。現場では、巧みに隠されているスピーカー探しも面白かったです。 柚木 たぶんスピーカーを隠すのは、山の上ホテルの部屋のシーンだと、カメラを置く場所がないからなのかなと。堤監督は小型のカメラをいっぱい駆使して、俳優さんだけを部屋に入れて、別の部屋でモニター映像で音を拾っていたのだと思いました。 ――堤監督の工夫が垣間見えますね。ところで、のんさんは最近、どんな本を読みましたか? のん 京極夏彦先生の「京極堂・百鬼夜行シリーズ」の番外編『今昔百鬼拾遺 鬼』(講談社)がすごく面白かったです。あとは漫画『ダンダダン』とか『忘却バッテリー』(ともに集英社)も読みました。 <のんさんプロフィール> 1993年生まれ、兵庫県出身。俳優・アーティスト。 音楽、映画製作、アートなど幅広いジャンルで活動。2016年公開の劇場アニメ「この世界の片隅に」主人公すずの声を演じ、第38回ヨコハマ映画祭審査員特別賞を受賞。2022年に自身が脚本、監督、主演の映画作品「Ribbon」公開。2022年9月、主演映画「さかなのこ」で、第46回日本アカデミー賞「優秀主演女優賞」を受賞。2024年、第16回伊丹十三賞を受賞。2025年2月、DMMTVで実写ドラマ「幸せカナコの殺し屋生活」を配信予定。 <柚木麻子(ゆずき・あさこ)さんプロフィール> 1981年、東京都出身。小説家。 2008年に「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞し、2010年に同作を含む『終点のあの子』でデビュー。2015年、『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞を受賞。ほかの作品に『ランチのアッコちゃん』『BUTTER』『マジカルグランマ』『らんたん』『ついでにジェントルメン』などがある。 インフォメーション 「私にふさわしいホテル」 2024年12月27日(金)全国公開 出演:のん、田中圭、滝藤賢一、田中みな実、服部樹咲、髙石あかり、橋本愛、橘ケンチ(EXILE)、光石研、若村麻由美 監督:堤幸彦 原作:柚木麻子『私にふさわしいホテル』(新潮文庫刊) 脚本:川尻恵太 製作幹事・制作プロダクション:murmur 企画協力:新潮社 特別協力:山の上ホテル 配給:日活、KDDI (C)2012柚木麻子/新潮社(C)2024「私にふさわしいホテル」製作委員会 公式サイト:https://www.watahote-movie.com/ 公式X:https://x.com/wands_movie 公式Instagram:https://www.instagram.com/wands_movie/
朝日新聞社(好書好日)