帝京大可児が圧巻5発ゴールショーで初戦突破!! 全国通算10点目のエースFW加藤隆成ら「日本一狙う」充実の黄金世代
[12.31 選手権2回戦 帝京大可児高 5-1 大分鶴崎高 味フィ西] 第103回全国高校サッカー選手権は31日、2回戦を各地で行い、味の素フィールド西が丘での第1試合は帝京大可児高(岐阜)が大分鶴崎高(大分)を5-1で破った。帝京大可児は自慢のパスサッカーが時間を追うごとに機能し、圧巻のゴールラッシュで2年連続の初戦突破。来年1月2日の3回戦では、前橋育英高(群馬)との優勝候補対決に挑む。 【写真】「イケメン揃い」「遺伝子を感じる」長友佑都の妻・平愛梨さんが家族写真を公開 6年連続11回目の出場を果たした常連校・帝京大可児と、14年ぶり7回目の出場となった伝統校・大分鶴崎との今大会初戦。ともに県予選決勝と同じスターティングメンバーを並べ、帝京大可児は4-2-3-1、大分鶴崎は4-3-3のシステムで臨んだ。 序盤の主導権を握ったのは大分鶴崎。マンツーマンの守備で帝京大可児のパスワークを阻み、帝京大可児のお株を奪うようなパスワークで前進すると、MF野々下蒼斗(3年=カティオーラFC U-15)と184cmの長身MF河野歩夢(2年=大分U-15)のインサイドハーフコンビが積極的に前へ。前半5分には野々下、同7分にはDF高野将大(2年=大分U-15)が惜しいシュートを放った。 一方の帝京大可児はも前半9分、ゲームメーカーを担うMF松井空音(3年=FCフェルボールテクニコ)のスルーパスがFW加藤隆成(3年=帝京大可児中)に入り、ようやくファーストチャンス。だが、ここは大分鶴崎DF吉元俊輔(2年=カティオーラFC U-15)が身体を入れ、完璧なカバーリングで侵入を許さない。 また帝京大可児は前半12分、MF明石望来(3年=FCフェルボール愛知)の斜めのパスを加藤がワンタッチで落とし、左SBから攻め上がっていたDF石田凱大(3年=FCフェルボール愛知)が狙う。これも大分鶴崎の187cm長身GK大倉公亮(2年=大分U-15)のファインセーブに阻まれた。 それでも帝京大可児は前半22分、岐阜県予選21ゴールの絶対的エースが試合を動かした。石田が献身的なプレスバックでボールを奪い、縦パスをMF青木嘉宏(2年=愛知FC庄内U-15)がワンタッチで落とすと、松井の左足浮き球パスがゴール前へ。これに加藤が完璧なタイミングで抜け出すと、最後は自分の間合いでGKを外し、右足シュートを流し込んだ。 仲井正剛監督が「最初は相手の守備がマンツーマン気味だったので戸惑っていたけど、個の駆け引きから背後を取れたのはすごく良かった」と評した一撃。1年時の全国選手権からメンバー入りしている加藤にとっては昨季選手権に続く2年連続でのゴールとなった。またインターハイでも昨季3ゴール、今季4ゴールを記録しており、全国通算10点目の大台にも乗せた。 そこからはさらに帝京大可児が勢いを見せ、前半36分にもビッグチャンス。MF伊藤彰一(2年=FCフェルボール愛知)のパスから明石、加藤、松井が連続で決定的なシュートを放つ。しかし、これらは全てGK大倉に阻まれる。大分鶴崎は守護神の奇跡的な3連続スーパーセーブで1点差にとどめ、前半を終えた。 後半は7分、前半の勢いを維持していた大分鶴崎に決定機。開会式で選手宣誓を務めたMF志賀杏陸主将(3年=大分U-15)がCKのトリックプレーからクロスを上げ、相手の中途半端なクリアを誘うと、左サイドを突破したFW三浦大雅(3年=カティオーラFC U-15)のクロスから再びこぼれ球を生み、最後は河野がシュートを狙う。しかし、ゴールカバーに入ったDF石田の神がかり的なクリアに阻まれ、同点とはならなかった。 するとその後は帝京大可児が圧巻の攻撃力を発揮した。後半11分、松井のシュートがまたもGK大倉に止められ、跳ね返りを狙った青木のフィニッシュが右ポストに弾かれたが、同20分に追加点。加藤のシュートがブロックされた直後、加藤が自ら猛烈なプレスバックでボールを奪って二次攻撃につなげると、途中出場MF中村一輝(3年=帝京大可児中)が浮き球パスを出し、これに反応した青木が冷静にGKをかわして流し込んだ。 さらに後半24分、帝京大可児は深く攻め込んだ攻撃から中村のクロスに松井がペナルティエリア右で反応し、右足でファーサイドネットに突き刺して3-0。また同26分には左サイドを突破した明石のパスに対し、青木がバイタルエリアにもぐり込むと、最後は冷静なフェイントで相手をいなしてこの日2ゴール目を沈めた。 一方の大分鶴崎は後半33分、中盤にポジションを変えていたDF高野将大(2年=大分トリニータU-15)がチャンスメイクし、左ポケットで河野がトリッキーなボールさばきを見せると、折り返しのパスが相手に当たったところにFW安東壮大(3年=カティオーラFC U-15)がヘディングで詰め、ようやく待望の1点を返す。 ところが帝京大可児の勢いは最後まで止まらず、後半アディショナルタイム1分、左で幅を取ったMF高田悠志(3年=若鮎長良FC)のパスを中村が左ポケットで受け、右に流すと、最後はMF鶴見一馬(3年=刈谷ジュニアユース)がフィニッシュ。途中出場の3年生3人でダメ押し点を奪い、ゴールラッシュを締めくくった。 試合後、仲井監督は「立ち上がりは固くていいサッカーはできなかったけど、最後はいいサッカーができた」と攻撃的な内容に高評価。一方、守備面では県予選準決勝から失点が続き、指揮官は「それが解消された時が日本一になれる時だと思う」と苦笑いも浮かべるが、サイドバックが内外で攻撃参加を繰り返すサッカーをするからにはそれも覚悟の上だ。 そんな今季の帝京大可児は絶対的エースの加藤、中盤で圧倒的な技術を誇る松井、ドリブラーの明石を擁し、本気で「日本一を狙う」黄金世代。夏のインターハイでは初戦・立正大淞南戦を6-1で制した後、2回戦で桐光学園高に1-1で迎えたPK戦に敗れた経験もあり、「その反省を活かしてやろうという話をこれからします」(仲井監督)と気を引き締めながら年明けのビッグマッチ・前橋育英戦に臨む。