完璧再現したGT-R仕様と「4000rpmから音が変わり、8000rpmまで軽やかに回る」L20型改2.6L! インジェクション化で快適&スパルタンに駆け抜ける!|進化形L型エンジンチューンに迫る!
【1970年式 日産 スカイライン HT 2000 GT L20/2.6L+オーメックス 6スロットル+リンクG4 Atom ECU|進化形L型エンジンチューンに迫る!】 【画像19枚】1970 SKYLINE HT 2000 GT L20/2.6L+OMEX 6 throttle+LINK G4 atom ECU。チューンアップしたL20型改を搭載し「GT-R仕様」に仕上げられたハコスカGT。レインガーターの形状やリアウインドーモールなど、GT-R通でなければ気付かないような細部にいたるまで、GT-R化が図られている 旧車ファンであったり、年輩の読者の多くは、若いころにキャブ車に乗った経験があると思われるが、みんながそうとは限らない。 経験がないからといって、旧車嫌いになるわけでもない。余裕ができた今だからこそ、若いころに憧れたクルマに乗りたいと思う読者も多くいるというもの。 ここで紹介するKGC10スカイラインHT 2000 GTは、オーナーが初めて所有した旧車だ。 「最初からハコスカが欲しかったんですが、とても自分には買えないと思い、偶然出合ったS30Zでチューンド仕様を作るつもりでいました。 ところが、ひょんなことからハコスカが見つかり、しかも手が届きそうな価格だったことから、6年前に購入。水上自動車さんにレストアとモディファイをお願いしました」 オーナーが望んだのは、現代の道路事情であっても快適に乗れる仕様だそうで、それを代表するのがエンジンのインジェクション化だ。購入当時はキャブレター仕様を検討していたが、これまでの車歴でキャブ車に乗った経験がなかったため、「メンテナンスで苦労するのではないか?」と悩んだそうだ。
L20型の内部をフルチューンしてパワフルに回せる最高スペックに!
しかしインジェクション仕様ならばメンテナンスで悩まずにすみ、夏の暑い日でも、冬の寒い日でも、思いたったらすぐにハコスカに乗ることができる。そんなオーナーの要望を水上自動車工業が、これまでに培ったノウハウで実現している。 とりあえずインジェクション化を語る前に、エンジン本体から説明する。ベースはスタンダードのL20型。L型チューンの場合、L28型のような大排気量のブロックを用いることが多いが、最近はL20型ベースのチューニングにも注目が集まってきており、L型チューンの新たな可能性として脚光を浴びている。 ピストンは特注のφ83mm鍛造ピストンで、ダミーヘッドを用いて精度の高いボーリングを実施。H断面コンロッド、L28型用の79mmストロークのクランクと組み合わせて、排気量は2563ccに。ヘッドは初期のL28型用のN42をベースに、インテークφ44mm/エキゾーストφ35mmのバルブをセット。オートサービスワタナベ製の強化バルブスプリングやチタンリテーナーで高回転域での追従性もアップ。カムシャフトは水上自動車工業オリジナルの75度(9.2mmリフト)で、高回転志向にチューンアップしている。 「4000rpmから音が変わり、8000rpmまで軽やかに回る」とL20型ベースながら、キッチリ回せるエンジンに仕上げている。 このL20型改に、インジェクションを組み合わせる。そのためのインテークマニホールドは、オリジナル加工したものを採用。スロットルボディには、イギリスのOMEX製のφ45mmスロットルボディとフューエルデリバリーを使い、インジェクターはR34スカイラインの純正品を組み合わせた。そして制御コンピューターは、LINK製G4アトムを採用する。その理由は圧倒的なコストパフォーマンスのよさが決め手に。各種センサーは、クランク角センサーが日産のVG型エンジン用、スロットルセンサーはOMEX製のキットに含まれており、マップセンサーはLINK製という組み合わせだ。また、アイドリング時に関しては、ボッシュ製のエアレギュレーターを別に取り付けることで、安定したアイドリングも実現した。 排気系は、水上自動車工業オリジナルφ45mm6‐1のタコ足、φ75mmシングルストレートマフラーを装着。旧車にとってエキゾーストサウンドは特に重要な要素で、旧車ならではのサウンドが響き、気分を高めてくれるようだ。 駆動系は亀有エンジンワークス製強化クラッチ、L型チューンではおなじみの71Cミッションに載せ換え、デフは標準のR180(ファイナル3.9)にLSDを組み込んでいる。 足まわりには、ビルズ製ショックを組み込んだ水上自動車工業製車高調を装着。ローダウンしつつ、しなやかな乗り味を実現する。ブレーキはフロントに定番のMK63キャリパー、リアにはS13シルビア用ディスクブレーキを採用して4輪ディスク化し、安心のストッピングパワーを獲得したブレーキに仕上げている。