業務用卸売市場、コロナ前への回復目前 23年度規模は14.2%増の3兆9507億円に
23年度の業務用食品卸売市場規模は前年比14.2%増の3兆9507億円で着地した(本紙推計/23年度よりエリア集計基準を一部変更)。同年5月のコロナ5類移行に伴う外食市場の活性化とコスト上昇による食材価格の引き上げで2年連続の2桁増を達成した。
飲食店に客戻り、2年連続で2桁の伸び
コロナ前の19年度の水準(3兆9670億円)にはわずかに届かなかったが、値上げとコロナ禍での物流を中心とする構造改革効果で大手を中心に収益力も大きく持ち直した。 エリア別は北海道・東北6.4%増(2954億円)、関東・甲信11.9%増(1兆7163億円)、東海・北陸11.7%増(6246億円)、近畿22.4%増(6692億円)、中国・四国8.9%増(2601億円)、九州・沖縄26.9%増(3851億円)で、西日本の回復ぶりが目立つ。近畿6府県と九州7県はいずれも20%台の高い伸びを示した。 ただし、外食市場はコロナ5類移行から一巡を迎えた今年のゴールデンウイーク明けごろから失速が色濃くなっている。総務省の家計調査(2人以上の世帯)では、5月の1世帯当たりの外食支出額が17ヵ月ぶりの前年割れ(1.9%減)となった。 前年のコロナ収束特需の反動に加え、食材・人件費の上昇を反映したメニュー価格の引き上げが個人店にまで浸透したことで、消費者の節約意識が強まってきた可能性がある。卸売段階でも5月ごろから出荷額の伸び悩みが顕在化しつつある。その一方で6月の外国人訪日客数が単月過去最多(314万人)を更新したほか、6月の実質賃金の伸びが27ヵ月ぶりに上昇に転じるなど、市場・消費環境は玉虫色の様相を呈している。24年度は業務用卸業界にとっても“19年超え”に向けた正念場になりそうだ。
日本食糧新聞社