マイナンバー法が施行「一度流出すると取り返しつかない」さまざまな懸念
マイナンバー法が5日、施行され、日本に住む全ての人に割り当てられる「12ケタの番号(マイナンバー)」が決まります。11月にかけて番号の通知を行い、来年1月から本格運用されます。 【図】危険? 便利? 「マイナンバー制度」の是非 ただ、Yahoo!JAPANの意識調査では、「あなたはマイナンバーに情報流出の不安を感じますか」との質問に対して、81%もの人が「大きな不安を感じる」と答えており、国民の間に不安感が広がっていることが見て取れます。また、マイナンバー制度はプライバシーを保障した憲法に違反するとして、弁護士や市民でつくるグループが、マイナンバーの使用差し止めなどを求める訴えを、今年12月にも全国で一斉に起こす予定です。弁護団のメンバーである水永誠二弁護士も、「マイナンバーとそれに関連する情報は、一度流出してしまえば取り返しがつかなくなる」と警鐘を鳴らします。具体的に、どのような点が問題なのでしょうか。
番号は企業など民間でも管理
マイナンバー制度とは、日本で住民票を持つ一人ひとりに12ケタのマイナンバーを割り当て、社会保障や税、災害対策の分野で一括して情報管理をするための制度です。不安を感じる国民が多いマイナンバー制度ですが、利点は主に3つあると説明されています。(1)所得や他の行政サービスの受給状況を把握しやすくなり、負担を不当に免れたり、給付を不正に受けたりすることを防止(公平・公正な社会の実現)、(2)行政手続が簡素化され、国民の負担を軽減(国民の利便性の向上)、(3)行政機関や地方公共団体などで、様々な情報の照合、転記、入力などにかかる時間や労力が大幅に削減される(行政の効率化)、などが挙げられています。 同制度の特徴は、社会保障、税、災害対策など複数の分野で共通の個人識別番号を利用すること、マイナンバーが記載されているICカードの利用が事実上強制されることですが、まず問題となるのが情報漏えいです。マイナンバーは、「納税者番号」と「社会保障関係の番号」として、企業をはじめ、民間で広く収集・保存され、関係行政庁などへ提出する書類に記載されることになっています。つまり、行政機関のみならず、民間においても、100万という膨大な単位でマイナンバー付きの個人情報データベースができることになるのです。 「扱う民間業者の数がここまで膨大になると、その中にはセキュリティの弱いところが必ず存在します。そうすると、一定の割合で漏えいが発生することが必然と考えられるのです。しかも、日本年金機構がされたような『標的型』のサイバー攻撃で狙われた場合は,それを防止することは困難でしょう」(水永弁護士)