マイナンバー法が施行「一度流出すると取り返しつかない」さまざまな懸念
芋づる式に個人情報が流出の恐れ
また、例えば年金情報や健康保険などの医療情報のように、 一度漏れてしまった個人情報は、名寄せの“マスターキー”機能を持つマイナンバーによって、その他の個人情報と混同することなく、容易かつ確実に名寄せ・突き合わせをすることが可能となります。さまざまな個人情報が芋づる式に流出してしまう恐れがあるのです。 しかも、このマイナンバーは原則として一生涯変わることはありません。 「一生涯の個人情報を名寄せされることにもなり、本人が知らないうちに、プライバシーは丸裸にされてしまいます。また、『成りすまし』をされた場合、例えば、勝手に借金を作られるなどの危険性があります。しかも、成りすまされたことを立証する責任は本人にあるので、その訂正は困難です。これは、既にマイナンバー制度が導入されているアメリカなどで深刻な社会問題となっています」(水永弁護士) 特に危険なのが、高齢者などの「IT弱者」です。こうした人達を手助けするように装って、4桁のパスワードを聞き出せば、「マイナポータル」にアクセスして、行政機関がマイナンバーの付いた自分の情報をいつ、どことやりとりしたのかが確認できてしまいます。さらに、行政機関が保有する自分に関する情報や行政機関から自分に対しての必要な情報を確認もできるので、その人の個人情報をのぞき見たり、色々な手続きを勝手に行われてしまうこともありえます。便利さをうたう「マイナポータル」ですが、一旦成りすまされてしまうと、その裏返しとしての危険性も高くなるのです。
将来の「ワンカード化」構想に懸念
では、こうしたプライバシー侵害を防止するには、どのような制度設計をすればいいのでしょうか。 将来的に、マイナンバーが記載された「個人番号カード」と、身分証明書や健康保険証、年金手帳などのさまざまな個人情報を1枚のカードに集約する「ワンカード化」構想があります。この構想ではクレジットカードやキャッシュカードとしても使えるようにする案が盛り込まれているのです 。水永弁護士は、こうしたワンカード化は止めるべきと指摘します。また、免許証番号や健康保険証番号などのように分野別の番号制にするのが望ましいと言います。