ドジャース、佐々木朗希の獲得が”最適解”…?チーム戦略から見る大きなメリットとは【コラム】
ドジャースが必要とする投手とは
さて、ドジャースがプレーオフを勝ち上がっていく上で必要なのはどのカテゴリーに入る投手だろうか。 もちろん、ゲリット・コールやコービン・バーンズのように200回以上を防御率2点台前半でまとめてくれるような大エースがベストであるが、そのような投手がFA/トレード市場に出ることは珍しく、さらに調達コストが割高となってしまう。 一方で、イニングイーターやデプスピッチャーを獲得しても、プレーオフで対戦する強力打線につぶされてしまうだけである。 ゆえに、ドジャースが狙うべきは”ガラスのエース”カテゴリーに入る投手と言うことになる。よってコストを適正価格程度に抑えた上で、怪我のリスクを許容する。 そのうえで、シーズン120イニング程度+プレーオフでの無双に期待するということだ。コストを抑えることで人数も確保できる。 ドジャースには”ガラスのエース”を多く保有するだけの能力がある。それは投手陣の圧倒的なデプスである。ブレイク・スネル加入後のドジャースはMLB40人枠に10人の先発投手が在籍している。 昨季のように開幕先発ローテの5人全員が故障者リストに入ることがあっても、2024年に69回を投げたランドン・ナック、2023年に124.1回を投げたボビー・ミラーなどがおり、ある程度の質は担保できる。
佐々木朗希がドジャースにベストフィットする理由
密約疑惑や佐々木自身の意思、MLB選手との交友関係など証明不能なことは横に置いて、野球の面から佐々木のフィットする球団を考えるとドジャースがベストフィットだということが分かる。 理由1: ドジャースの先進的な投手育成能力 ドジャースの投手育成能力はMLBでもトップレベルだ。過去5年においてもタイラー・アンダーソン、アンドリュー・ヒーニーなどの低迷していたベテランや、ボビー・ミラー、ギャビン・ストーンなどの評価が低かった若手を育成した実績がある。 佐々木が「世界一の選手」になりたいならばドジャースがその思いをかなえる可能性は高い。 理由2: ドジャースの選手層の厚さ 佐々木朗希の耐久性の問題は、ロッテ在籍時から度々指摘されている通りである。ここまでのキャリアにおいて、最大イニング数が129.1回であることからも明らかだ。 メジャー初年度から先発ローテフル稼働では、いつか壊れてしまう可能性が高い。それは佐々木もMLB球団も承知の事実だ。 大谷翔平のロサンゼルス・エンゼルス時代末期において、エンゼルスのプレーオフ出場のために大谷がオーバーワークになってしまった可能性も指摘されている。 一方で、即戦力としての先発投手をあまり必要としていないドジャースではじっくりと育成に取り組むことができる。 MLBのルール上、マイナー契約しか結べないことを最大限に生かして、身体づくりや球種の追加などを競争激しいメジャーレベルではなく、マイナーレベルで時間をかけて行うことで、佐々木のキャリアを長くすることにもつながるだろう。 理由3: ドジャースの将来性 これは特に獲得時最大のライバルとされるサンティエゴ・パドレスを念頭に置くが、パドレスは故ピーター・サイドラー氏時代に結んだ長期契約が将来的に重荷となる可能性が高い。 既に、来季33歳となるマニー・マチャド、ザンダー・ボガーツは衰退期に入っていると見られ、この2人の契約は10年残っている。 また、今季のパドレスを支えたルイス・アラエズ、ディラン・シース、マイケル・キングが来季終了後にFAとなる。 若手はジャクソン・メリル、フェルナンド・タティスがいるものの、米サイト『mlb.com』プロスペクトランキングTOP100には2人しかいない。さらに今オフ既に予算の削減に取り組んでいるようだ。 ドジャースもムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマン、大谷翔平の高齢化という大きな問題を抱えてはいるものの、プロスペクトTOP100には5人、加えてフアン・ソト獲得戦線に参加するなど更なる補強姿勢を見せている。 上記を踏まえ、佐々木朗希が長期的な視点でワールドシリーズ優勝を目指すのであればこちらの方が可能性は高いと見られる。
ベースボールチャンネル編集部