「阪神優勝の確率はゼロ!いまのままではね」下柳剛が古巣の貧打に喝!「打てんのなら走れ!」
心に暗雲が立ち込めた、開幕シリーズのプレー
まずは今年の3月29日、東京ドームで行われた巨人との開幕戦。3回に森下が放った右中間の大飛球を巨人のライト・梶谷がスーパーキャッチでダブルプレー。一生に一度あるかないかのプレーを目撃して、“あれ、今シーズンは昨シーズンとは違うかも。なにかおかしいぞ”と心に暗雲が立ち込めた。 そして翌30日の開幕2戦目。4回1アウト1、3塁で坂本がセーフティスクイズ。これを巨人のファースト・岡本がダイビングキャッチ。スタートを切っていたサードランナーの大山は帰塁できずダブルプレー。結局、どちらの試合も1点も取れずに負けることに。このセーフティスクイズを見た時に、“昨シーズンには見られなかったミスだな。チームの意識が全員に行き届いてない”と感じた。 開幕戦を相手のスーパープレーもあって落とし、開幕から連敗はしたくなかったこの試合。ベンチの焦りもあったかもしれない。でも、一番の問題はそういったチーム全体の意識を、選手個々が理解しきれていなかったこと。だからこそ出たミスだった。 それと同じミスが交流戦の最後の試合でも見られた。つまり、開幕戦から交流戦まで、チームの意識づけに変化がないまま進んできてしまった――ということになる。正直、今のままでは阪神の今シーズンの優勝「アレンパ」の確率は0だ。
負の要素が山積みながらも2位を堅守
「今のままでは阪神の今シーズンの優勝確率は0」と言うと、どうしても「0」の方に目が向きがちになるけど、今回は「今のままでは」というところに注目してほしい。 打線の調子は上向かない。強みである投手陣も序盤にして疲労が見えシーズン最後までもちそうにない。38年ぶりに日本一になった昨シーズンにはあったチームとしての意識統一も希薄なままに見える。これだけ負の要素がありながら、交流戦7勝11敗という成績は、昨シーズン(7勝10敗1分)とほぼ同じ。セリーグでは広島に首位の座を明け渡したものの、交流戦終了時点で2.5ゲーム差の2位につけた。 一時は交流戦最下位も現実味を帯びていた中、この位置で終えられたことは希望を残した。首位の広島は確かに調子がいい。積極的にガンガンくるパリーグ的野球だから、交流戦ではパリーグのチーム相手に噛み合ったともいえる。これがセリーグの試合に戻ってどうなるか。この広島と、夏場に補強を仕掛けてくるであろう巨人をおさえていけば、まだ優勝のチャンスは充分残されている。 とはいえ、「今のままでは」そのチャンスをつかむことすらおぼつかない。このままではピッチャー陣がつぶれてしまう。かといって「打線は水物」というように、確実に状態が上向く具体的な手立てが存在するわけでもない。状態は徐々に向上することはあっても、急に変わることはありえない。 では、現状のどこから手をつけていくのが得策なのか。まずは盗塁、足を使うことから始めるのがいいと思う。