元西武・相内誠の格闘技デビュー戦相手決まる…「逃げずに打ち合う。KO勝利が理想。怖さはないが不安はある」
「時間を無駄にしたくない」と、ロードワークと基礎的なフィジカルトレーニングは、自宅近辺で行い、時間が許す限り立川のキックボクシングジムへ通いジムワークに取り組んでいる。本格的なスパーリングを始めたのは、つい最近。 「格闘技の体力はマラソンランナーなどとは全然、違うもの。体力作りから始めて、ここ最近、スパーとか技術的なものを取り入れてやっています」 試合まで1か月あるが「準備としては、まだ30、40パーセント。ここから追い込んで試合には100パーセントに持っていきたい」との調整計画を練っている。 「リーチが長所なのでリーチを生かした練習をやっています。(野球と)似ているのは、力任せではダメ。脱力。力んでやってもよくないと思いました」 身長185センチの恵まれた体格を生かしたファイトスタイルを追求している。西武時代に145キロの速球と、多彩な変化球を操った身体能力は非凡で、膝蹴りやパンチなどの威力に目を見張るものがあるという。伊藤代表も「ポテンシャルが高いので思い切り暴れて欲しい」と期待を寄せる。 目標としているファイターは、この日、元ルンピニーの認定王者である“ムエタイの強豪”ヌンラーンレック・ジットムアンノン(25、タイ)との対戦が発表された第5代RISEライト級王者の白鳥大珠(24、TEAMTEPPEN)だ。 「理想は白鳥さんのように、冷静さがあってテクニックもあり打ち合いでも負けないファイター。まだまだ程遠いですが、ああいうファイターになれればいい」 デビュー戦の戦略は、まだ固まっていないが、「打ち合うべきところで打ち合う」ことだけは、心に決めているという。 ――自信はありますか? 会見後に相内を直撃すると、こんな答えが返ってきた。 「よく聞かれるんですが、すべてが初めてのことです。ずっとやってきた野球ならば、高校生でドラフトに指名されプロでやる自信があるのか?と聞かれれば答えることができました。でも格闘技の経験はないので、まず自信がどういうものかもわからない。だから怖さはない。痛い目にあって格闘技の恐怖を味わうかもしれない。それはやってみなければわかりません。ぶっつけ本番。自分への期待もあるし、できるのかなという不安もあります」 これが正直な気持ちだろう。 西武時代には、大幅なスピード違反を犯した車に同乗していたなどのトラブルを引き起こしてユニホームを脱ぐことになった。引退後、即、格闘家の転身は異例のスピード。だが、高校時代からキックボクシングのジムへ通い「プロ野球か、格闘家か」と迷ったほどの憧れの世界だった。 ――元プロ野球選手の肩書きは捨ててリングに上がるのですか? 「心機一転。新しい相内誠でいきたいです。でも傍から見ると元西武ライオンズの相内なんです。その誇りはあります。プロ野球から格闘家に転身された方は、過去にもいらっしゃいましたが、僕の転向は最短でしょう。格闘界で活躍して、“相内って、プロ野球選手から格闘家になった人だよね”と、言ってもらえるように名を残したい。そのためにも頂点を極めたい。チャンピオンベルトです」 プロの洗礼を浴びるのか。それとも非凡な才能を披露し衝撃のデビューを飾るのか。注目の試合は、2.28横浜アリーナの大舞台だ。