中古バイクの相場が史上最高値を更新中! 1000万円超えも続出!? 人気車種と取引額急騰の背景を解説
中古バイク相場10年間の推移と、価格高騰を牽引するナナハンレプリカ&ホモロゲ機
続いて、過去10年間で中古バイクの相場がどう推移してきたのかを見ていこう。 このグラフは、業者間オークションの取引額推移を示している。業者間オークションは、買取業者や販売業者にとって重要な取引の場であり、年間約20万台の中古バイクが流通している。この取引額は、いわば中古バイクの卸売価格であり、販売店店頭価格の指標にもなる。 グラフを見ると、2020年までは600万円台で推移していた相場は、2021年には1000万円に迫る急上昇を遂げている。これは、コロナ禍による新車供給の停滞が原因とされている。2022年にはコロナバブルが下火になったものの、史上初めて1000万円の大台を突破。その後も中古バイク市場の取引額が大きく下がることはなく、2023年と2024年には、平均取引額がついに1500万円を突破している。 なかでも薄緑で網掛けしている領域で市場を牽引していたジャンルが、1990年代までに製造された ナナハン・レプリカやホモロゲーションだ。 それでは具体的にどの機種が史上最高値を更新し続けているのか。最高取引額トップ5のモデルをご紹介しよう。
────────── 第1位 NR750 ────────── 堂々の第一位は1992年モデルとして300台限定(国内向け200台/海外向け100台)で発売されたNR750だ。 そのルーツは、1979年にWGP(現MotoGP)参戦のために開発されたワークスマシンNR500に遡る。ライバル機に対しての特異点として、気筒当たり8バルブ・楕円ピストン・4ストロークのV型4気筒エンジンを搭載しながら、WGPでのポイント獲得は叶わなかった。 ケニー・ロバーツ、エディ・ローソン、フレディ・スペンサーといったレジェンドライダーたちがしのぎを削った当時、ライバル車には、RG500やYZR500などが存在し、市販レプリカRZV500RやRG500ガンマとして発売された。 1983年からはNS500に戦場を移しNRはいったん鳴りを潜めるのだが、1987年にはル・マン24時間耐久レースにHRCワークスマシンNR750が参戦。しかし完走は果たせなかった。なお、エンジンは楕円ピストン32バルブV型4気筒で、NR500比30馬力以上のパワーアップを実現していた。 そして1992年、NR750として市販化。ワークスマシンを忠実に再現したレーサーレプリカとは趣が異なり、レーサーグラフィックを排除した深紅のグラフィックが採用され、一見するとツアラーのようなスタイリングが特徴だった。 この背景には、ワークスマシンの戦績不振や、SBK参戦用のホモロゲーション取得車であるVFR750RやRVF750との差別化の必要性があったのだろう。 本機の最大の特徴は、NRにのみ組み込まれた楕円形ピストンを改良して32バルブのまま量産市販化したこと。そのコンセプトは、ピストン形状同様に唯一無二のオリジナリティを生み出した。 また、本機がエポックメイキングであった理由の1つに小売価格も挙げられる。バブル景気最中に発売されたとあって、その小売価格は520万円。当時、ホンダ製バイクで最大排気量を誇っていた1520ccのゴールドウイングの上位グレードSEの国内販売価格ですら215万円であったことを考えると、その高額さが際立つ。 本機が高額取引(買取査定)対象となっている理由を列記すれば ・ワークスマシン由来で唯一無二のエンジン機構を採用 ・バブル期に豪華なパーツを多数搭載し超高額の小売価格が設定されていた さらに2021年以降、急速にプレミアム度を焚けめている理由には ・新車供給が細り中古バイク相場が高騰したコロナ禍相場の波に乗った ・急速な円安とインフレで従来の2割増の金額で仕入れが可能となっている海外勢の存在 が挙げられるだろう。