近畿北部に大津波"10m超"も...日本海に『海域活断層』のリスク 専門家は「範囲は狭いが高い津波」と指摘
南海トラフ巨大地震が発生すると「太平洋側に巨大津波が来ると想定される」とよく言われていますが、一方で、日本海側にも津波のリスクが潜んでいることを知っているでしょうか?過去に近畿北部を襲った大津波の実態に迫り、今後のリスクについて考えます。 【画像を見る】京都府北部・兵庫県北部で想定される津波の高さ
神社に伝わる約1300年前の津波の「言い伝え」
京都府宮津市の「天橋立」。白い砂と松林が美しい日本三景のひとつです。近くの高台にある神社には、約1300年前の津波についての「言い伝え」が残っています。 (元伊勢 籠神社 権禰宜・岸野駿平さん)「こちらが波せき地蔵です。大宝元(701)年に発生した大地震による津波が、お地蔵さんの手前で切り返したことから『波せき地蔵』と呼ばれています」 飛鳥時代の701年に京都府北部などを襲った大宝地震。当時、地蔵は参道の入口にあったとされています。標高16mのこの場所まで、津波が来たと伝わっているのです。 (元伊勢 籠神社 権禰宜・岸野駿平さん)「当社にも伝わる記録にもありますとおり、地震災害とそれにともなう津波は、日本海側でも過去に何度も発生しています。ご先祖さまの記録と記憶を軽視せず、常日頃備える必要があります」
「海域活断層」の地震の脅威…発生直後に津波到達の可能性
今年の元日に発生した能登半島地震。日本海での津波の脅威を目の当たりにしました。石川県能登町では、約5mの津波が住宅街を襲いました。 (住民)「ゆめにも思っていませんでしたね。人生80年生きてきた中で津波が来たことはなかったんですから」 四方を海に囲まれた日本列島。近畿地方では、南海トラフ地震による太平洋側の津波の危険性が最も高いとされています。一方、日本海側では、東日本大震災以降に調査が進んだ「海域活断層」の地震に警戒が必要です。断層が陸に近いため、地震が起きるとすぐに津波が来るおそれがあるのです。 1983年の日本海中部地震では、津波により秋田・青森・北海道で104人が犠牲になりました。 その10年後、1993年に起きた北海道南西沖地震では、奥尻島に数分で津波が到達。津波は、高さ約30mの地点にまで遡上するなどし、死者・行方不明者は230人にのぼりました。