近畿北部に大津波"10m超"も...日本海に『海域活断層』のリスク 専門家は「範囲は狭いが高い津波」と指摘
京都府で最大10.9mの津波想定「日本海側の津波は狭い範囲だが高い」
こうした高い津波が近畿北部を襲うことはあるのか?津波のメカニズムが専門の関西大学・高橋智幸教授は、近畿の北部でも10mを超える津波のおそれがあると指摘します。 (関西大学・社会安全学部 高橋智幸教授)「特に『F49』とか『F54』と呼ばれている活断層が海の中にありまして、それらが地震を発生させると、津波が兵庫県や京都府にも押し寄せるとわかっています」 Fは、英語で断層を意味するfaultの頭文字です。日本海側にある60の海域活断層に北から順番に番号がふられていて、国が警戒を呼びかけています。 京都府で最大の津波が想定されるのは、断層が87kmにわたるF49で、津波は最も高い伊根町で10.9m、舞鶴市や京丹後市でも8mを超える見込みです。 兵庫県北部では、F54による津波が最も大きく、香美町で5.3m、豊岡市と新温泉町では4.5mと想定されています。地震から10分以内に第一波が到達するとみられていて、迅速な避難が必要です。 (関西大学・社会安全学部 高橋智幸教授)「太平洋側の場合には(津波が)広い範囲にやって来るけれども、日本海側の場合は狭い範囲だが津波の高さは高いので十分危険だと思います」 また、活断層が海底にあるため、内陸部に比べて調査が進んでおらず、まだ分からないことが多いといいます。 (関西大学・社会安全学部 高橋智幸教授)「海域活断層地震の発生間隔は数百年~数千年。われわれ人間が知っている情報だけでは、そういった活断層の地震がいつどこで起きるか予測できないと思ったほうがいい」
約100年前に発生した近畿北部での地震 700ページ以上にわたる記録
日本海側で懸念され、予測が難しい海域活断層地震。実は、約100年前、近畿北部でも起きていました。 昭和2年(1927年)に発生した北丹後地震では、2~3mの津波が押し寄せたという記録が残されています。当時、京都府がまとめた資料では、北丹後地震について700ページ以上にわたり記録されています。地震や火災で、現在の京丹後市などで約3000人が亡くなりました。資料には津波の様子も詳細に記されていました。 【資料より】 「海岸に面せる地方では、發震(はっしん)と共に俄然(がぜん)海水は平生(へいぜい)の水位より一丈餘(よ)を增(ま)した」※一丈=約3m 「出漁中であった漁船は其(この)波動の爲(ため)に三四間(けん)も離れた陸上に打揚げられるなどの騒ぎ」※三四間=5~7m 現在の京丹後市で、「海水が3mあまり上昇」「漁船が5~7m離れた陸地に打ち上げられた」と津波の様子が記録されていました。津波は確かに発生していたのです。