全国3位のメジャーな名字「高橋」。歴史も古く、最も古い一族は大和の古代豪族
高橋(たかはし)
「高橋」は全国順位3位というメジャーな名字ですが、県単位で最多となっているのは群馬県と愛媛県の2県にすぎません。1位の「佐藤」が9都道県、2位の「鈴木」が8県で最多となっているのと比べるとかなり少ないのです。 ただし、岩手県・秋田県・宮城県の3県ではランキングこそ1位ではないものの、人口比では4%を超しており、かなり高い。中でも、秋田県湯沢市の羽場集落では住民全員が「高橋」であることで知られています。 「高橋」は、文字通り「高い橋」に由来しています。この「高い」には2つの意味があります。 1つは深い谷などでに架けられたもの。こういうところでは橋は川面からかなり高いところに架けられ「高橋」となります。 そしてもう1つが、神社でみられる太鼓橋のように中央部が大きく盛り上がった橋。これも「高い橋」で「高橋」さんのルーツとなりました。 いずれにしても、古い時代にはこうした「高い橋」を架けるのは大変で、ランドマークだったに違いありません。 高橋氏の歴史も古く、最も古い高橋一族は、第8代孝元天皇の子孫と伝える大和の古代豪族です。そのルーツとなった場所は添上郡高橋(現在の奈良県天理市)とも、添下郡高橋(現在の奈良市)ともいわれています。高橋氏は代々天皇家や朝廷の食膳を担当していました。 なお、異体字の「髙」を用いた「髙橋」もルーツは全く同じで、明治の初めに戸籍にどう書いたかという違いです。
森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家 1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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