一帯一路構想の象徴・中国ラオス国際鉄道に「思いがけない難敵」現る!?
雲南省を中心として、中国全国とラオス、タイ、ベトナム、ミャンマーなど12カ国を結ぶ物流ルートで活用されている。今年6月にはマレーシアの鉄道会社が初めて、タイ、ラオス、そして、この中国ラオス鉄道を経由して中国への貨物列車を運行した。 つまり中国にとって、中国-ラオス鉄道は東南アジアへの重要な物流ルートだ。南シナ海など海路を大回りせずに東南アジアへ陸路による大量輸送を行うことが可能となった。もし、有事となって海上が封鎖された場合、インド洋への出口となるこの鉄道が使える。安全保障上の意味合いもあるわけだ。 一方、海のない内陸国ラオスも、中国に、そしてこの鉄道に依存して経済発展を目指したいと考えている。8月15日には、中国とラオス両国の外務大臣が会談した。ラオスの外務大臣は会談で、中国との関係を「運命共同体」と表現したほどだ。その象徴が、この中国-ラオス鉄道だ。 ■絶対に起こしてはならないゾウとのトラブル 野生のアジアゾウが生息する密林を切り開いて建設し「一帯一路」構想をだれにもわかるカタチにした中国ラオス鉄道。その「一帯一路」構想に対し、警戒感を強める国々は少なくない。一方、ゾウはだれからも愛される動物だ。 だから、西側諸国から「開発を最優先して、絶滅危惧種のゾウの生態系を犠牲にしてまで、中国が周辺国への経済支配を進めている」――。そう非難されないように、保護も一生懸命やっているのだ。国営メディアを使って、しっかりアピールしないといけない。鳴り物入りで開業した中国-ラオス鉄道と、野生のゾウが関係するトラブルは、絶対に起こしてはいけないわけだ。 ただ、野生のゾウの活動は、当初の想定の範囲を超えているのかもしれない。記憶にあるだろうか。2021年、やはり中国の雲南省で、アジアゾウ15頭の群れが、500キロも移動してニュースになった。 森林を離れ、人が住む村にも入り、家の中に長い鼻を突っ込んだりしたりもした。食べ物が欲しかったのだろうか。「ゾウの大行進」の原因はわかっていないが、生息できる森林がだんだん狭くなっていることに対し、ゾウたちが抗議デモを行っているようにも思えた。