長崎スタジアムシティ開業 プロスポーツの聖地に<2024長崎スポーツ この1年・5>
プロスポーツの“聖地”が長崎市の中心部に誕生した。 地元のプロスポーツクラブ、サッカーJ2のV・ファーレン長崎とバスケットボールB1の長崎ヴェルカ。それぞれの新本拠地となったピーススタジアム、ハピネスアリーナを中核とした長崎スタジアムシティが10月に開業した。 両クラブの親会社の通販大手ジャパネットホールディングス(佐世保市)が、JR長崎駅から徒歩10分の好立地に約1千億円を投じて建設。プロジェクトのスタートから約6年、着工から約2年をかけて完成させた。 最初に試合が開催されたのは本格開業前の9月14日、ヴェルカのプレシーズンマッチ。最大6千人収容のハピネスアリーナに、昨季のチャンピオンシップ(CS)準優勝の琉球を迎えた。気温が30度を超える猛暑の中、開場前から約2千人が長蛇の列をつくる盛況。試合は敗れたが、多くのファンが歴史的な1日を満喫した。 現在、ヴェルカは「CS進出」を最低限の目標に掲げて、国内最高峰のリーグで奮闘中。15日の第12節終了時点で西地区6位と苦しんでいるが、上位に絡んでいける力は備えている。モーディ・マオール監督は「(シーズン終盤の)4、5月にピークを持ってくる」と先を見据えている。 約2万人収容可能なピーススタジアムの開幕戦は10月6日、大分との九州ダービー。ピッチと観客席の距離が最短5メートルという日本一の近さで、選手たちはサポーターの声援を間近で受けて躍動した。スタンドには1万9千人超の観客が詰めかけ、その熱狂の中でチームは大量4点を奪って快勝。下平隆宏監督は「最高に素晴らしい雰囲気。完成するまでに多くの方が尽力してくれた。その思いに応えられて良かった」と安堵(あんど)していた表情が印象的だった。 V長崎はその後も新本拠地で強さを発揮。大分戦からホーム3戦全勝で、最終節までJ1自動昇格争いを演じた。惜しくも勝ち点差1の3位で、昇格プレーオフも準決勝で敗れたが、ピースタ開催の計4試合で7万6892人を動員した。 この熱気を維持していくためには、両クラブがどれだけ魅力的な試合をして、結果を残していくかが重要なポイント。ハード面に見合った活躍が期待される。