80代母親が保有する「1億円」もの株…50代息子が驚愕した、その「高すぎる相続税」
年老いていく親を前にして、まず考えなければならないのが相続の問題です。なるべく資産を減らさないままで次世代に引き継ぐためには、どのようにすればよいのでしょうか。相続実務士の曽根恵子さんが相談者の50代男性Tさんのケースから、相続に関する問題を紐解きます。 【マンガ】「持ち家か賃貸か」論争…ついに「正解」がわかった!
父親の財産すべてを相続している80代の母親
さん(50代男性)から、母親の節税対策を実行したが、その効果がどれくらいなのか、検証してもらいたいと依頼がありました。さんの母親は80代。3年前に父親から財産を相続していますが、そのときに今後の二次相続対策を夢相続で提案していました。 父親の財産は自宅と金融資産で母親と2人の子どもの基礎控除4800万円以下でしたので、相続税の申告は不要で、母親が全部を引き継ぐようにしたといいます。 夢相続には、その後、相談に来られました。
1億7000万円もの財産が…
さんが相談にこられたのは2年前。父親の相続が終わって1周忌が過ぎた頃でした。80代の母親はまだまだ元気だけれども、相続対策の提案をしてもらいたいということでした。 母親の財産を確認しますと、1億7000万円あるということがわかりました。金融資産が85%という状況でした。不動産は2つのマンションと小口化商品1つの3つを所有されていました。自宅マンションと賃貸している区分マンションと商業ビルの権利で、土地、建物を合わせた評価は2500万円程度です。残りは、預金、有価証券などの金融資産です。 金融資産を保有されている経緯をお聞きしますと、母方の祖父の相続のときに上場株を相続し、そのまま保有してきたものが値上がりして約1億円になっているということでした。そのままでは2600万円の相続税がかかると想定されました。
相続税を減らすには
母親の相続税を節税するには、金融資産を活用して、評価が下がるものに変えることが効果的だという提案をしました。株を解約して、現金で区分マンションを購入して賃貸しておくことです。現在では、賃借人がいる状況で購入する、いわゆるオーナーチェンジの物件が流通していますので、そうした状態で購入することもできます。 相続税の節税対策として分譲マンションを購入するメリットは、いくつかの理由がありますが、大きくは次の3つです。 (1)現金よりも低い評価になる:現金や預貯金はそのままの額で相続税の対象となりますが、分譲マンションを購入することで、現金を不動産に変換し、相続税評価額を引き下げることが可能です。これは、不動産が現金よりも評価額が低くなる傾向があるためです。 (2)貸家建付地評価:購入した分譲マンションを賃貸に出している場合、「貸家建付地」としてさらに評価額が下がるため、節税効果が高まります。 (3)小規模宅地等の特例が活用できる:相続人が購入した分譲マンションに住んでいる場合、もしくは事業用として使っている場合、「小規模宅地等の特例」を利用することで、相続税評価額を最大80%減額することが可能です。これにより、相続税の負担を大幅に減らすことができます。