イトーヨーカ堂が「eco検定アワード」大賞、顧客参加型の環境活動を評価
東京商工会議所は11月22日、「eco検定アワード2023」表彰式を開催した。同アワードはeco検定合格者(エコピープル)から成る「エコユニット」の環境活動を広く周知し、具体的な行動を起こす際の参考にしてもらうことを目的としている。大賞には、「お客様と一緒に」を合言葉に、環境活動を展開するイトーヨーカ堂が選ばれた。(オルタナ副編集長=吉田広子) eco検定は、環境問題やSDGs(持続可能な開発目標)を体系的に学ぶ検定試験で、これまでのべ64万人が受験し、38万人のエコピープルが誕生した。 東京商工会議所は2008年から毎年、「eco検定アワード」を実施。エコユニットの優れた環境活動を顕彰し、広く周知することで、企業や生活者が具体的な環境活動を起こす一助としてもらうことを目的とする。エコユニットは、組織形態を問わず、エコピープル2人以上で組織できる。 「eco検定アワード2024」大賞を受賞したイトーヨーカ堂は、2050年までの長期目標「GREEN CHALLENGE 2050」のもと、顧客や地域と連携した環境活動を展開している点が高く評価された。 同社は「お客様と一緒に」を合言葉に、6月と10の環境月間で、食品トレーのリサイクルや食品ロス削減、持続可能な調達の啓発活動などを行った。例えば、お客様参加型企画として、魚型のシールに環境アクションを書いてボードに貼り、シール1 枚につき1 円を海洋保全活動に寄付する取り組みを実施した。 さらに、イトーヨーカドー・ヨークマート全227 店舗では、「みんなに、未来に、つなげる省エネ活動」を実施。店舗で働く従業員一人ひとりが省エネのアイデアを出し合い、連携して取り組んだという。特に優れた取り組みは「社長賞」として表彰した。 同社の小山遊子・サステナビリティ推進部GMは、「『日々の暮らしでできる環境活動』をテーマに、お客様とお取引先様との接点を生かし、取り組みを進めている。そのためにも店舗の従業員の協力が欠かせない。未来に豊かな環境を引き継ぐために、これからも環境活動を続けていきたい」と意気込みを語った。 表彰式では、経営コンサルタントの笹谷秀光氏が特別講演「SDGsを経営に実装するとは?」を行った。笹谷氏は「SDGsは、チャンスとリスクの両面で活用できる。17目標だけではなく、169のターゲットまで理解することで、取り組むべき経営課題が見えてくる」と語る。 「『三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)』は、古くから日本企業に根付いている。ただし、これからは企業戦略への落とし込みや発信の強化が必要だ。世界の共通言語であるSDGsに貢献し、価値を生み出せれば、仲間が増える。さらにビジネスにも還元され、良い循環が生れる」(笹谷氏) 笹谷氏は「社会に役立つ企業であろうとすると、そのための知識や人材育成が必要だ。すでに環境やSDGsを学んだエコピープルは、その先の目標に向かって頑張ってほしい」と激励した。 「eco検定アワード2024」受賞者は次の通り。 ■「eco検定アワード2024」受賞者一覧 【大賞】 「イトーヨーカ堂」(東京都千代田区/小売業): 環境に配慮した商品や、持続可能な方法で調達された商品を店頭で販売している。このほか、食品トレーの回収や、海洋インフォグラフィックコンテストなど、店舗の強みを生かした啓発活動を展開する。従業員の協力のもと、店舗の省エネ化にも力を入れる。 【優秀賞】 「折兼」(愛知県名古屋市/食品包装容器の販売ほか):フードビジネスに特化した専門商社である同社は、サトウキビ由来で生分解性がある素材「バガス」を使った容器を開発し、普及を進める。子ども向けに環境教育も実施している。 「大和リース」(大阪市中央区/建設業): 社員向けの環境教育を充実させ、 eco検定取得率は94.9%に上る。ネイチャーポジティブ経営への移行を目指し、生物多様性保全に力を入れる。複合商業施設「ブランチ神戸学園都市 チガヤ群落」は自然共生サイトに認定された。 【奨励賞】 「植田油脂」(大阪府大東市/廃食用油の回収ほか):「脱炭素社会に貢献する企業になる」というビジョンのもと、「eco検定手当(1000円)」で、社員のモチベーション向上に取り組む。ほぼ捨てられている家庭の廃食油の回収とリサイクルを進める。 「トヨタ自動車九州」(福岡県宮若市/自動車およびその部品の製造):「トヨタ環境チャレンジ2050」達成に向けて、地域とともに環境活動を展開。さつき松原保全管理や等覚寺支援活動などに取り組む。2035年工場カーボンニュートラル達成に向けて、省エネを強化している。