相続対策で「1億円分の株」を「分譲マンション」に変えた80代女性…悠々自適の「家賃収入」生活へ
年老いていく親を前にして、まず考えなければならないのが相続の問題です。相続実務士の曽根恵子さんが相談者の50代男性Tさんのケースから、相続に関する問題を紐解きます。Tさんの母親は80代。その総資産は金融資産と3年前に亡くなった父親から相続した自宅などを含めて、約1億7000万円ほどになります。資産の大部分を占めているのが、母方の祖父から相続した上場株。そのまま保有していたものが値上がりして1億円ほどになっていました。 【マンガ】「持ち家か賃貸か」論争…ついに「正解」がわかった! このままでは相続税が2600万円もかかってしまうと予想されます。相続税を減らすためにはどうすれば良いのか。相談に来たTさんに提示されたのが、金融資産を活用して、評価が下がるものに変えることです。株を解約し、現金で区分マンションを購入して賃貸する方法が考えられます。 記事前編は【80代母親が保有する「1億円」もの株…50代息子が驚愕した、その「高すぎる相続税」】から。
節税対策の効果はどれくらい?
さんはこの内容を母親にも説明し、理解してもらい、具体的な対策としてオーナーチェンジの分譲マンションを3つ購入し、賃貸。さらにさんの娘が住むためのマンションも購入し、家賃を払うことなく、使用貸借としているといいます。 母親が実行した対策は、金融資産から収益用不動産への資産組替です。購入価格と現在の相続評価を比較しました。 (1) 購入価格3300万円⇒現在の相続評価906万円 評価率27.45% (2) 購入価格2800万円⇒現在の相続評価711万円 評価率25.39% (3) 購入価格1773万円⇒現在の相続評価701万円 評価率39.53% (4) 購入価格1700万円⇒現在の相続評価477万円 評価率28.05%……使用貸借 購入価格と相続評価を比べると、29.19%になりました。1億円の現金をそのまま持ち続けるのではなく、現金でオーナーチェンジ物件を購入することによって30%以下の評価に変わります。賃貸していなくても、不動産にするだけで30%以下の評価にかわっています。 結果、相続税額は2600万円から1120万円まで減額できており、対42.70%、当初の半分以下になりました。