小泉進次郎の“野球たとえ発言”に違和感…本当に意味は適切か? 大谷翔平と総裁選「勝敗の行方は“50-50”」「一本足打法から二刀流へ」検証結果が出た…
パターン3)メディア向けのフレーズ
進次郎氏は言いたいことの補強ではなく、主張そのものに「野球たとえ」を使用する場合がある。総裁選の出馬会見では、こんなフレーズを高らかに述べた。 〈日本の産業を一本足打法から二刀流へ。そして世界へ〉(2024年9月6日配信/スポーツ報知) 「一本足打法」は打者のフォームであり、「二刀流」は投手と打者の兼任を意味する。種類の違う言葉を並列しているため、野球ファンは困惑する。しかも、そのまま世界に飛び立とうとしているのだ。 正確を期すなら「一本足打法から二本足打法へ」、もしくは「一刀流から二刀流へ」になる。しかし、これではますます意味がわからなくなる。普通に「日本の産業の柱を1つだけでなく、2つにしたい」と言えば良い場面だが、用法の正しさよりも、惹きの強さを選んだのだろう。そのため、戸惑いという副作用が生じた。
混乱した“大谷翔平50-50”のたとえ
このように、進次郎氏の「野球たとえ」は時に人を混乱させる。総裁選中、50本塁打、50盗塁の「50-50」を達成したドジャースの大谷翔平に関する質問が出ると、こう答えた。 〈総裁選の勝敗の行方は50-50です〉(2024年9月21日配信/日刊スポーツ) 自分の当落が50%、50%という意味なのだろう。しかし、大谷は50本塁打、50盗塁の「50-50」である。無理に結びつけると、違和感が出てくる。それとも、進次郎氏は総裁選で50本塁打、50盗塁をしようと考えていたのだろうか。 いずれにしても、これらの発言は多くの媒体で見出しになっている。進次郎氏は、何を言えばマスコミに大きく取り上げられるかを熟知しているのだ。政治家に必要な能力の1つである「頭の回転の速さ」が備わっていることは間違いない。
「自民党は国会議員200人。イチローと同じように…」
思い返せば、進次郎氏は自民党が野党に下った2009年の総選挙で初当選。その直後、読売系列のスポーツ報知から巨人のリーグ3連覇についてコメントを求められ、こう話した。 〈おめでとうございます! 今の政界でいえば巨人にあたるのは民主党。自民党も巨人のような層の厚さで再出発を目指します〉(2009年9月24日付/スポーツ報知) 文章を解読してみよう。 二文目「今の政界でいえば巨人にあたるのは民主党」→「巨人=民主党」 三文目「自民党も巨人のような層の厚さで再出発を目指します」→「自民党=巨人のような層の厚さを目指す」 と解釈できる。イコールを繋いでいくと、進次郎氏の言いたいことが見えてくる。 「自民党は民主党のような層の厚さを目指す」 初めからこう言えばいいのではないだろうか。ただ、それでは普通のコメントでつまらない。媒体や周囲の状況を考えた上で、サービス精神で「野球たとえ」を口にしているのだ。初登院の日には100人を超える報道陣に取り囲まれ、こう言った。 〈自民党は国会議員200人。イチローと同じように、200で終わりではなく、200から始まる〉(2009年9月16日付/朝日新聞夕刊) 新人議員にもかかわらず、党全体を背負うかのような発言で異彩を放っている。なんだか意味はよくわからないが、「やってくれるんじゃないか」という期待感は漂わせている。 ただ、どの発言も「野球たとえ」で聴衆を惹き付けてはいるが、政治家として具体的に何をどうするかの言及はあまりない。国民はここに不安を感じる。 代表的な例は、〈おぼろげながら浮かんできたんです。46という数字が〉(2021年4月23日/TBS系『NEWS23』/以下同)という環境大臣時代の発言だろう。この時、政府は2030年度の温室効果ガス排出を46%削減(2013年度比)という目標を掲げていた。 彼の言葉に、聞き手の小川彩佳アナウンサーは困惑した表情を浮かべる。その後、進次郎氏は〈意欲的な目標を設定したことを評価せず。で、一方で現実的なものを出すと「何かそれって低いね」って〉と語り始め、こんなたとえを出した。 〈だけど、オリンピック目指す時に「金メダル目指します」と言って、その結果銅メダルだった時に非難しますかね〉 小川アナの訝しげな顔を見て困った末に、「野球たとえ」ならぬ「五輪たとえ」で自らの主張を補強した。意気込み自体は素晴らしい。問題は「そのための具体案」である。進次郎氏は太陽光発電の活用で乗り切る意向を示したが、VTRで電源構成のグラフを示されて〈46%(削減)を目指すにはかなりの増設と費用負担が求められます〉とナレーションで突っ込まれていた。 〈おぼろげながら~〉について、放送から4日後の会見で進次郎氏は〈(発言が)切り取られている部分も相当ある〉(2021年4月28日配信/朝日新聞デジタル/以下同)と話し、同時に〈しっかり説明していきたい〉とも発言した。ならば、その場で“46%”の根拠を明示すれば良かったのではないか。“切り取り”をやたらと強調する政治家には、逆に怪しさを感じてしまう。
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