なぜ、令和生まれのオンラインRPG『ブループロトコル』からは、昔ながらの「オンラインゲーム」の雰囲気を感じるのか? 「8時間かけてジュノに行く」「究極のエンドコンテンツはチャット」──根源にあったのは、開発陣が『FFXI』で体験した「人との交流」の楽しさだった
プライベートの時間を捧げ、ときに睡眠時間も削り、まるで第2の人生のような体験を謳歌する。いわゆる「オンラインゲーム」と呼ばれるものに熱狂したゲーマーは少なくないだろう。 【この記事に関連するほかの画像を見る】 しかし、現代はコンテンツに溢れる時代だ。日々、数多くのゲームがリリースされ、YouTubeやTikTokには数えきれないほどの動画が投稿され続けている。サブスクに入れば、映画にドラマにアニメにと選り取り見取りである。 そんな現代においては、オンラインゲームで「まるで第2の人生のように謳歌するプレイヤー」も希少な存在になりつつあるように思う。 そんななか、2023年6月14日にリリースされたオンラインRPG『ブループロトコル』(以下、『ブルプロ』)からは、「昔ながらのオンラインゲーム」の雰囲気を感じられる。 いったいこれがなぜなのか……? 開発陣はとくに『ファイナルファンタジーXI』(以下、『FFXI』)による影響を公言しているが、どのような体験が、本作の「昔ながらのオンラインゲーム」らしい雰囲気に繋がっているのだろうか。 今回、電ファミニコゲーマーでは、『ブルプロ』エグゼクティブプロデューサーの下岡聡吉氏、プロデューサーの鈴木貴宏氏、ディレクターの福﨑恵介氏の3名にインタビューを実施【※】。 彼らの「オンラインゲームの原体験」をお伺いするとともに、そのおもしろさを『ブルプロ』でどう表現しようとしているのか。さらに、リリースから1年の歩みを振り返ってもらいつつ、今後の展望についてもお聞きした。 その根底には、開発陣がオンラインゲームで体験してきた「人と遊ぶ楽しさ」を、今の世代のプレイヤーたちに味わってもらいたい、という思いがあった。 聞き手/TAITAI、Leyvan 編集/竹中プレジデント 撮影/佐々木秀二 ■8時間かけて「ジュノ」に向かう。『FFXI』での強烈な原体験 ──『ブルプロ』で印象的なのが、「オンラインゲームらしさ」や「オンラインゲームのおもしろさ」のようなものを今のプレイヤーたちに伝えようとしている点です。 開発チームのみなさんはいわゆる「古のオンラインゲーム」、とくに『FFXI』からの影響を公言されています。まずはそのころの印象に残っている楽しかった思い出や、強烈な体験についてお聞かせいただけないでしょうか。 下岡聡吉氏(以下、下岡氏): 僕は『FFXI』で、ゲーム内で知り合った友人と、「ジュノ」【※】に向かうふたり旅をしたことが記憶に残っています。 ゲームの物語的にはまだ「ジュノ」という言葉も出ていない進捗でした。ふたりともレベルが低くて弱くて。覚えたての透明になり敵に発見されにくくなる「インビジ」と、音を消し敵に発見されにくくなる「スニーク」をお互いかけあって、ジュノを目指して旅をしました。 何度も戦闘不能になりながらだったので、8時間くらいかかったんですが……ジュノに到着したときの達成感がめちゃくちゃあったんです。 ──8時間もかけてですか!? すごい……。 下岡氏: その人との友情みたいなものはその後もずっと続いて、ふたりで「パール」(装備することで仲間同士でチャットができるようになる)も作りました。 その後少しずつ仲間が増えて、すごく仲のいい友人グループができました。攻略をするわけでもなく、ストーリーをクリアしたり、行ったことのないところに挑戦するみたいにゆっくり楽しむだけだったんですが、その彼らとの交流がすごくよかったんですよね。しかもすごいのが、その中の人同士でリアルに結婚されたんですよ。 ──それはすごいですね! 下岡氏: 仲間の結婚式に招待されて「『ファイナルファンタジー』の友だちです」って紹介してもらったんです。席には僕のキャラの写真があって……すごくない? 鈴木貴宏氏(以下、鈴木氏): すごいですよそれ。自分たちの出会いをすごく大事にしている。 下岡氏: ……思わず泣いたね。これって中身が人じゃなかったら起きなかったわけじゃないですか。近い将来、人間のようなAIが生まれる可能性はありますが、少なくともこの段階で人間に代わるNPCはいない。 接する相手が人間だからこそ感じられる楽しさというのは、オンラインゲームの原体験として強く記憶に残っていますね。 ──鈴木さんはいかがでしょうか?「FF」に限らず、オンラインゲームの原体験みたいなものは。 鈴木氏: 僕もやっぱり『FFXI』が一番ハマりこみました。PS版の先行廃人だったので、攻略本を作る人とか、メディアさんといっしょにプレイしてたんですよ。当時はSNSも普及していなくて、掲示板などの情報も嘘か本当かわからないという、手探りの状態でした。 どこにも確実な正解が載ってないし、説明書に書いてあることがないということもあったので、自分たちのコミュニティの中で探さなければいけないっていうところが、めちゃくちゃおもしろかったですね。 ──時代を感じますね(笑)。今ではなかなか得難い体験です。 鈴木氏: そんななか出会った仲間たちと闇の王の城にたどりついた時の感激だったり、そのあとの戦闘メンバーに選ばれなかった悔しさだったり……そういう感情も含めて楽しかったですね。 ──福﨑さんもやはり『FFXI』をプレイされていたのでしょうか? 福﨑恵介氏(以下、福﨑氏): はい。僕は『FFXI』がリリースされてから3、4ヵ月後に始めたんですが、初日に死にかけているところをとある人に助けてもらって、そこからふたりでパーティを組んで4時間くらい冒険をしていました。 ──まさにオンラインRPGらしい出会いかたですね。偶然の出来事から仲良くなって一緒に冒険するというのは。 福﨑氏: でも、その人とはフレンドにはなったんですが、それ以降はほとんど一緒に遊んでいないんですよ。 普段から連絡を取り合うわけでもなく、街で通りすがりに会ったりはするんですが、挨拶して、ちょっと近況を話して別れて、みたいな関係でした。 ただそれでも一番最初にフレンド登録した人っていうのが、ずっと心に残っていて。最初に助けてもらった、少し一緒に冒険しただけなんですけど、その人たちとなんとなく繋がりつづける感覚みたいなものが、ゲーム体験としてすごくよかったんです。 下岡氏: 一番最初の同級生みたいな関係だ。 福﨑氏: オンラインRPGってプレイ時間や遊ぶスパンも長いから、「プチ」人生みたいですよね。すれ違いざまに「おっ、お互い強くなってるな」という距離感で、それぞれの経験がちょっとずつ交わるというか。 ──最初に遊んだ時の体験が特別に感じられるというのも、経験者には「あるある」かもしれませんね。 福﨑氏: もうひとつ、これは下岡さんの体験と近いんですけど、所属しているグループのサブリーダーだった時に、30人くらいで「ジュノまで行こうぜツアー」をやったんですよ。 初めて「ジュノ」に行く人たちを、経験者の人たちが周りで守ってあげながら、徒歩で旅をする。はぐれそうな人がいたら声をかけたり、敵に襲われている人がいたら助けてあげたりと、そういうコミュニケーションがすごく楽しかったです。 ──福﨑さんもやはり、人との出会いとか交流みたいなものが印象的だったんですね。 福﨑氏: こういうイベントって、ゲームとしてレベルデザインされた遊びではないじゃないですか。 お互い助け合ったり、それに対して「恩返しをしよう」みたいな気持ちは、普通のゲームやNPCでは絶対起きないので。人とやっているからこその経験として凄く心に残っています。 下岡氏: オンラインRPGやMMOは、息の長い付き合いや、感情のやりとりができるジャンルですよね。 「自分が助けてもらったから恩返ししよう」みたいな気持ちって、リアルの人生でも起こることで。そんな、人にしてあげたことが自分にも返ってくるような、ある種の人生っぽさとか居心地の良さみたいなものは、長く付き合っていくゲーム特有のものだなと思っています。 ■機能的ではない「無駄なところ」がMMOらしい雰囲気を作っている ──『ブルプロ』の世界、街を設計していくにあたって、MMOらしさについてどのように意識されたのでしょう。 福﨑氏: 開発の初期段階で「そもそもMMOってなんだろう」や「MOとMMOの違いってなんだろう」といった点については、かなり議論しました。もともと、MOかMMOは規模の違いでしかない。本来はゲームのジャンルではないじゃないですか。 どの要素をもってMOなのか、MMOなのか。とにかくみんなの考えをバーっと書き出したんです。そこで出てきたのがチャンネル制かサーバー制かという観点でした。プレイヤーによってチャンネル【※】が作られて時間が動き出すのがMOで、プレイヤーに関係なく時間が流れているのがMMOだと。 その議論を経て、『ブルプロ』の全体的な作りとしては「MOにMMO的なコミュニケーションができる空間を入れこむ」形をとりました。 鈴木氏: ありましたね。その話をしていたとき、フィールドをもっとMO的にする案も出ましたよね。パーティを組んで出撃することでフィールドに行ける、という。 福﨑氏: そうそう。アステルリーズをロビー型の街にしようという案もあったんですよ。 ──ロビー型というと、パーティを組むための機能に特化した形でしょうか? 下岡氏: そうですね。ロビーの中で自動的にマッチングが行われて、街から出た先でメンバーが合流する形式でした。 ただその形だと、ミッションのためにやることが明確になりすぎてしまうというのがあって。街でちょっと話しかけたり、すれ違った時に近況を聞いたりみたいな気分にはなりづらいんですよね。 ──みんながミッションの支度に夢中で、準備ができたらさっさと街を出ていく感じになってしまいますね。 下岡氏: 僕たちとしては、ひとりでレイドに向かっていたら、自然と同じ目的の人が集まってきて……「いつの間にかたくさん人がいる!」といった体験をしてもらいたい。そういう思いから今の形になったというのはあると思います。 実際、アステルリーズの街では、ワープポイントの近くだけじゃなく、街のいたるところに人だかりができています。教会の周辺にも人がいますし、闘技場の前にも人がいます。 福﨑氏: でも、アステルリーズの街が今のような雰囲気になったのは、どちらかというとプレイヤーさんの尽力のほうが大きいんじゃないかなという気はします。 ゲームのプレイサイクルだけを考えると、アステルリーズの街は準備をするだけの場所であっても全然構わないんですよ。そこにわざわざ滞在してコミュニケーションをとるような雰囲気になったのは、クローズドテストのときからプレイヤーさんたちが、実際に喋ったり踊ったりするような場として使っていたからなんじゃないかなぁ、と。 ──戦闘の準備だけを行うロビー的な雰囲気になっていた可能性も十分あったと。 福﨑氏: もちろん、グラフィック的な良さだったり、街の作りといった技術的な要素がその雰囲気に寄与している部分もあるでしょうけど、滞在したくなるようなフックを意識して置いたかというと、とくにはそうしていないんです。 ただ、無意識的なところで「そういう街の雰囲気」が頭の中にあったのかもしれません。ミッションの準備のための場所としてなら、本当はもっと機能的であっていいはずなのですが……アステルリーズの街ってべつに機能的じゃないですしね(笑)。 鈴木氏: アステルリーズの街は使いたい(行きたい)施設がそれぞれ離れていますからね。機能を追及するなら、極論を言えば「すべてをメニュー画面に入れておけば良い」になっちゃいますから……。 福﨑氏: そういった「無駄なところ」が雰囲気を作っているところはあるかもしれませんね。開発メンバーのいろいろな「こういうのがよかったよね」というエッセンスが入っているんじゃないかなと。 ■ゲーム的に大きな意味のない機能も、居心地のよさに繋がっている ──「無駄なところ」というと、『ブルプロ』にはゲーム的には大きな意味はない機能が数多く実装されていますよね。 福﨑氏: 「これって結局なにに使うの?」と思われる、何気なく見えるものが、じつは開発メンバーの誰かのこだわりのもと入っている機能であることはけっこう多いんです。 代表的なものだと、「手つなぎ」のジェスチャーです。ゲーム的にはなんの意味もないのですが、そこからコミュニケーションが発生したり、スクリーンショットを撮るきっかけになったり、没入感が高まる要素になっています。 ──ゲーム的に必然性がない機能を実装する際ってどのような判断基準があるんでしょう? 必要ではないからこそ難しいイメージがあります。 福﨑氏: おっしゃる通り、ゲーム的に大きな意味を持たない部分って、作りきって実装するのにすごくパワーがいるんですよね。「なんのために作ってるの?」って言われたらぐうの音も出ないので、みんなで必然性を共有しにくいんです(笑)。 今回のアップデートだと「フチに座れるようになる」機能が追加されたんですが、これも僕が「こんな絵が見たいんだ」という気持ちで押し切ったところがあるので。 定期的に追加していくのは難しいんですが、今後もこういったこだわりの部分は追加していきたいと思っています。 ──機能としては絶対に必要ではないけれど雰囲気が出る、という意味だと「フィールドでキャンプでたき火をつけて座るとHP回復が早くなる」仕様も近いものがあります。 HP回復の手段として必ずしも必要ではないんですが、たき火があることによって、ひと休みしようという気持ちがでてきます。 下岡氏: HP回復だけなら、敵に見つかっていない状態であれば自動的に回復はしますからね。印象的なのが、たき火を複数人で囲んでいて、火が消えたら自然と誰かが立ち上がって火をつけてくれるんですよ。 鈴木氏: じつは「火がついている時間をもっと長くしてほしい」という要望がけっこうな数きていまして(笑)。 下岡氏: 「もうHP全部回復したでしょ?」とも思うんですが、そういう機能的なことではなく、たき火を囲んでひと休みしている雰囲気を楽しんでいただけているのかなと。 ──そういった一見すると無駄に見える要素が、居心地の良さみたいなものに繋がっているんでしょうね。 下岡氏: 『ブルプロ』には街や風景のいたるところに、走っている足を止めて「これってなんだろう?」と感じるような気づきだったりがいろいろと散りばめられていて、結果として居心地が良いと思ってもらえているのは、「住んでる感」といった感覚に繋がっているんだと思います。 ──こういった感覚が得られるゲームというのはとても貴重なんじゃないかと思います。他のオンラインゲームではなかなか味わえない感覚が『ブルプロ』には存在すると思うんです。 福﨑氏: 以前別のタイトルを担当していた時に思っていたことがあるのですが、「もう少しこうだったら良いのに」と言い合える環境ってすごく楽しいと思っていて。 もちろん変に狙って調整を削ったりってことはないんですけど、結局調整ってもぐら叩きに近くて基本的にはずっと終わらないものなので。それも含めてコミュニケーションの一要素としてゲームを楽しんでいるのかなと思うこともあります。 下岡氏: 僕なんかは「下岡」という名前のままプレイしているので、ゲーム内で直接要望をお伝えいただくこともあります。申し訳ないですが、ゲーム内でご意見やご要望をいただいても、正式な窓口へ誘導する形にはなるのですが。 そういう要望のなかには「もう少し先までプレイしてくれたらわかってもらえるかも」と思うこともありますし、逆に「その人の深さが自分にはまだわからない」ということもあります。 ただ、そういうところも含めて彼らが楽しんでくれている様子はすごくありがたいですし、僕と話しているような感じで、その人とほかの友だちが話してくれているとしたら、とても嬉しいことだなと思います。 ■「向こう側にいる人」との交流や協力が意識せずともできるように ──古きよき「オンラインゲーム」に影響を受け、MMOらしいコミュニケーションや雰囲気が作られている『ブルプロ』ですが、そもそもこのゲームの企画が立ち上がった経緯とはどういったものだったのでしょうか。 下岡氏: もともとバンダイナムコオンラインの社内で昔からオンラインRPGを作りたいという夢はあり、僕が入社した当時そうした機運が高まっている時期でした。 そんな「アニメの世界を旅できるRPGを作りたい」という発想と、今まで僕たちが経験してきたオンラインRPGの楽しさとかドラマといったものを後世に残していきたいという思いがあり、そこからスタートしていった、という形です。 ただ、一社で作りきるのは困難を極めることは明らかでした。そこで、バンダイナムコスタジオさんと一緒にという形をとって……というのが大元であります。 ただ、自分としては「オンラインで人が集まる」だけではなく、これまで誰も見たことのない体験を届けたい思いと、自分たちが楽しんできた『FFXI』でのような交流する楽しさ、協力する楽しさを味わっていただきたい。そう考えていました。 ──先ほど『FFXI』での原体験についてはお話いただきましたが、他に影響を受けたタイトルはあるのでしょうか。 下岡氏: 最初の企画書で「こういうゲームを目指したい」と書いてあったのは『FFXI』……あとは『風ノ旅ビト』に『Destiny』、『ワンダと巨像』もあげていました。とくに『風ノ旅ビト』は本当に驚かされたゲームのひとつです。 ──『風ノ旅ビト』ですか。少し意外です。 下岡氏: 『風ノ旅ビト』では、ゲーム中に自分と同じ姿のキャラクターが登場して一緒に旅をするんです。 コミュニケーションをとるための手段は用意されていなくて、とくに説明もないから、最初はNPCかと思うんですが、妙に動きが人間っぽくて……。じつはそれがオンライン上のプレイヤーなんですよね。最後のスタッフロールに、一緒に遊んだ人のプレイステーションIDが出てきて驚愕しました。 鈴木氏: 「あれは人だったんだ」という衝撃ですよね。 下岡氏: そうです。映画で例えると、『猿の惑星』のラストみたいな衝撃がありました。 ──なるほど、ここでも「向こうに人がいる」というオンラインの要素が。 下岡氏: 「同じ目的を持っている人同士、言葉がなくても通じ合う瞬間があるんだ」と感じられた瞬間です。 その体験があって、『ブルプロ』でも「その場にいる人たちが意識しなくても協力できるようなプレイができるといいよね」という話をしていました。 ──『ブルプロ』は、プレイヤー同士が絡みやすいというか、気軽に交流したがる雰囲気がありますよね。 最近のゲームはとくに「機能性」や「便利さ」に重きが置かれているものが多いように感じます。一方で「無駄」や「余白」のような感覚がコミュニケーションの場に与える影響も少なくないと思うのですが、そういった点に関してはどれくらい意識されているのでしょうか? 福﨑氏: たとえば、既存のグループの中でコミュニティが強固に完結しすぎてしまっていて、野良の人が入りづらい状況はよくあると思います。 それよりは、適度なワイワイ感だとか、合間合間に行われるコミュニケーションのような感覚を大切にしたい、というのは意識していました。 ──MMOのマナーとして、周囲の不特定多数に発言が聞こえる「白チャット(周囲のプレイヤーに見える発言)」は控えましょう、みたいな雰囲気があったりもしますよね。 福﨑氏: それで言うと、『ブルプロ』ではクローズドテストのときからプレイヤーさんが白チャットでたくさん喋ってくれていたんですよね。 それが一時的な風潮で終わってしまう可能性もあったので、文化として根付いていくのだろうか、というのは懸念していました。ただ、プレイヤーさんがワイワイ踊っている輪の中に僕たち運営メンバーも加わって一緒に話をして遊ぶなどしていくなかで、空気感が固まったというのはあるかもしれません。 下岡氏: 「こんな感じでやっていいんだな」という雰囲気はできていたかもしれませんね。 ■じつは若い世代のプレイヤーが多い『ブルプロ』 ──ちなみに、『ブルプロ』のプレイヤーはどのくらいの年齢の方が多いのでしょうか。 鈴木氏: アンケートなどの結果によると、ボリュームゾーンとしては25歳前後になっています。当初は、僕らと同じ世代の35歳から45歳くらいが多いと予想していたんですが、いざ蓋を開けてみると若い世代の方々に多く遊んでいただいています。 ──MMOとしては比較的若めなプレイヤー層ですよね。 下岡氏: そうですね。『ブルプロ』が初めてのオンラインRPGというプレイヤーの方は多いです。 ありとあらゆる遊びがある今の時代において、「オンラインで多くの人と一緒に冒険するという体験に関しては『ブルプロ』が初めて」という声が多い点も、自分たちがチャレンジして良かった部分です。 福﨑氏: ただ、やはりそのあたりの世代に合わせたチューンナップは必要だな、と考えることもありますね。ここまでお話した通り、僕らの世代にとってはノスタルジー的な楽しさを意識している部分は結構あります。 ただ、新規の若いプレイヤーさんがそれを感じることは当然ありませんから、もう少し「パッと見」で楽しめる部分を強化しないといけないね、という話はよくしています。 ──すぐに楽しさを体験できないと、プレイヤーはすぐに離れてしまうと。 福﨑氏: ええ。逆に、今の時代だからこそハマった要素もあります。スクショの遊びかたなんかは、SNS文化が発達する前だったとしたらここまで爆発的な流れにはなっていなかったでしょうしね。 下岡氏: プレイヤーさんが自分で発信できるというのはとても大事な要素ですよね。 ──ノスタルジーとおっしゃいましたが、一方で今日お聞きしてきた『ブルプロ』の良さって、より原始的な、誰にとっても楽しい部分もあると思います。 スクショの文化自体はすごく現代的ですが、撮影のために集まって役割分担をして……といった風景は、古きよきオンラインゲームにあった、人と遊ぶ楽しさに近いですよね。 福﨑氏: スクショという形で出力されてはいるんですが、結局のところ、場所と時間を共有して人と遊ぶっていう事をしているんですよ。そういう意味ではすごくメタバース的だとも感じます。 下岡氏: ただ一方で、『ブルプロ』はあくまでゲームなんです。美しい世界に居場所があって、人と遊ぶ楽しさがあるのはわかったけど、「ゲームとしての便利さやおもしろさは」についてはまだまだブラッシュアップする必要はあると思っています。 みんながみんなミッションに行きたいという訳でもないし、みんながみんな自由探索が好きという訳でもないですから。プレイヤーさんの中にもさまざまな好みがある以上、アンケートなどを参考にしつつ、できるだけバランスをとってやっていきたいと考えています。 福﨑氏: スクショの話に繋がりますが、そもそものゲーム体験が充実していれば、その感情がシチュエーションに乗ってきて、それがさまざまなジェスチャーなどでバリエーション豊かに表現できるよね、という相乗効果を生み出すはずですから、そのあたりは両輪で整えていきたいですね。 ■運営としても促しているスクショの楽しみかた ──『ブルプロ』では自撮りっぽいスクショを投稿している方をよく見かけますよね。こういうコミュニケーションの取りかたが自然になっているというのが、なかなか他のゲームではないんじゃないかと。 福﨑氏: スクリーンショットの楽しみかたに関しては、運営として促しているところもあります。公式放送の『ブルプロ』通信で紹介したり、スクショコンテストを開催したりしているので、その中で「こういう遊びかたをしてもいいんだよ」というメッセージは伝わり続けているのかなと。 それがプレイヤーさんたちの間でも「だったらこういうこともできるじゃん」という盛り上がりに繋がっているんじゃないでしょうか。 もうひとつ理由があるとすれば、『ブルプロ』のキャラモデルって、寄っても破綻しないんですよ。だからアップの写真が撮りやすいんです。これは他のゲームにはなかなかない特徴だと思っています。 ──キャラモデルに関しては、なにか技術的に特別なものがあるのでしょうか? 福﨑氏: 影のつけかたやシェーディング、輪郭線などには死ぬほどこだわっていて、CEDEC【※】で発表もしています。 下岡氏: 3Dモデルだと破綻しやすい「あおり」の角度も、『ブルプロ』はかなりちゃんとしていますよね。あれは本当にすごい。 福﨑氏: 『ブルプロ』のスクショって、「スクリーンショット」というよりは「ポートレート」みたいな性質のものも多くて。アップの写真が撮りやすいキャラモデルと、スクリーンショット周りの機能などがうまく噛み合っているんだと思います。 鈴木氏: そういえば「東京ゲームショウ」にいらしたプレイヤーさんに、スクリーンショットの写真集をプレゼントしていただいたことがありますよ。「すごいことしてる!」って驚きました。 下岡氏: 被写体となるモデルの方の他に、カメラマン役の人がいるんですよね。自分は写り込まず、撮影に専念するという。 福﨑氏: アビリティのエフェクトを光源として使っているから、撮影係が4、5人いるって聞きました。「ゲーム内にレフ版が欲しい」なんて言われたことまであります。 ──光源役は私もやったことがあります(笑)。 一同: (笑)。 福﨑氏: 『ブルプロ』では衣装や見た目の部分でお金をいただく以上、フォトモードが一種のエンドコンテンツになるのではないか、という話はしていました。 ビジュアル的なこだわりに関しては唯一無二のゲームだと思っているので、そこを綺麗に出力できるようにしようと。 ──「レフ板」の他にも、プレイヤーさんから要望を貰ったりはするのでしょうか。 福﨑氏: よく言われるのは、時間偽装機能ですね。フォトモードの間だけ、ゲーム内の時間を自由に設定できるような機能です。 下岡氏: これはよく言われますね。僕も撮影にお付き合いしたことがあるのですが、構図が固まってから、光源の向きがちょうどよくなるまで待機するんですよ。「日の出まであと15分です」みたいな感じで。 福﨑氏: ただ、その苦労や努力込みで「すごいな」って思えるところもあると思うので、なかなか難しいですね。 鈴木氏: 便利にするべきところとそうでないところ、みたいな話に繋がってきますよね。 福﨑氏: そういう苦労や努力がある意味では強固なコミュニケーションになっている部分もありますから。「この時間しか撮れないぞ」みたいな結束ができたり(笑)。 ■『ブルプロ』のコミュニケーション哲学 ──お話を聞いていると、古きよき「オンラインゲーム」の楽しさをいかにして現代の人たちに届けるか……が、『ブルプロ』の命題のひとつにあるのかなと感じるのですが、そのあたりはいかがお考えなのでしょうか。 下岡氏: 『ブルプロ』で初めて体験するという方が多い以上、「過去のオンラインゲーム経験がないとおもしろさがわからない」といったことは避けたいと考えていました。だからこそ、経験がある人からすると、物足りない部分が出てくるとは想定はしていました。 ──往年のプレイヤーが戻ってきてくれたら嬉しいですし、一方で未経験の人に対してこのおもしろさをどうやったら伝えられるんだろう、という悩みはありますよね。 下岡氏: やはり根底にはコミュニケーションの楽しさというものがあるべきなんですが、ただ、コミュニケーションって難しくて。それこそ、僕たちの『FFXI』経験みたいに、最良の友だちができたとしたら、何のゲームだろうが楽しいんですよ。仲のいい友だちと遊んでいるわけですからね。 それはそれで良いことですが、一方で誰もが誰もがそれを望んでいるわけではないというのがあって。極端な話ですが、友だちを作ることが同調圧力みたいになってしまってはよくないですよね。 ──人と人との距離感の話ですから、難しいところですよね。ワイワイやりたい人もいれば、静かに遊びたい人もいます。 下岡氏: ですから、開発側でできることとしては、可能な限りそのバランスをとっていくことだと思っています。 たとえば、自動でミッションに参加できる「マッチングサポート」でレベル上げが追いつきやすいようにしてあげたりとか、近くの人と簡単にパーティを組める「今すぐパーティ」で助け合いがしやすいようにしてあげたりとかですね。 開発当時に「クラス理論」と呼んでいた考えかたがあって、学校のクラスって、学年は同じだけど、さまざまな人たちが一箇所に集まってきますよね。その中で、とくに仲が良くなる人もいれば、友だちにならない人もいる。だけど少なくとも「知らない人」から「知ってる人」になる意識みたいなものは芽生えます。 『ブルプロ』の「今すぐパーティ」でも、そこから仲良くなる人もいれば、黙って抜けていく人もいるし、ときどき挨拶してくれる人もいる。進捗が似たような人が集まって遊べば接触率がふえ「知っている人」が増えるんじゃないかということを意識していました。 ──手を振るジェスチャーをしたり、「ありがとう」のスタンプを送ったりしますよね。 下岡氏: あらかじめ「ここまでやったら抜けますね」と言ってくれる人もいますよね。いろいろな人がいますが、こういったやり取りを何度も繰り返す中で友だちになれる人がいたら、それはもっと楽しくなるよね、と思っています。 必ずしも友だちを作らなきゃいけないということではないんですが、そういう機会は増えるようにと設計していますね。 ──本来はパーティを組むのって、人に呼び掛けたり、申請を送ったりしなければならないので足が重く感じる部分もありますが、、「今すぐパーティ」は自動で近くの人とマッチングするので、ゆるく繋がることができますよね。「よければどうぞ」みたいな感覚です。 下岡氏: 「今すぐパーティ」をつけていると、ウェルカムな雰囲気が出ていますよね。ただ、それも「やらなきゃいけない、やったほうがいい」ではなく「得意な人、好きな人が自由にやる」がいいと思っていて。 自分から飛び込んでいくのが苦手な人もいるし、人を誘うのが好きな人もいます。そういうところのコミュニケーションをしやすくするためのものだと考えてもらえればと思います。 ──似たような仕組みだと「ライク」がありますよね。チャットを送ったり、フレンド申請をするでもなく、ちょっと「ライク」を送るだけでゆるめのコミュニケーションがとれるのがすごくいいなと思っています。 鈴木氏: 「ライク」はまさしく緩めのコミュニケーションを意識して作られたものです。チャットを送るのってどうしても一歩踏み出さなければいけないので、「いいね!」という気持ちを、ミッション終了後などに気軽に送れるようにする、というのは意図的に作られています。 下岡氏: 「ライク」もそうですが、スタンプ機能なども、わざわざ喋るよりはポンと送るという感じの、いま風のコミュニケーションに合わせるということを意識しています。条件による自動返信はうまく攻略に使っていただいたりもしていますね。 ■「アステルリーズは、いつ戻ってきても拒絶しないような街」。サービス開始からの1年間を振り返る ──ここまで『ブルプロ』がどういった思いのもとに作り上げられてきたのか、それはどういった形でゲーム内に表れてきているのか、といった話を伺ってきました。実際にサービスが開始してから1年が経ったわけですが、振り返ってみてどのような1年間でしたか? 下岡氏: 本当に考え続けて、走り続けた1年間で、あっという間でした。 鈴木氏: 本当に、早いと思いました(笑)。 下岡氏: 振り返ってみると「もう1年経つんだ」という驚きもあるんですが、その中で、プレイヤーさんの声を聞きつつ、自分たちでよくないとわかっている部分でも、開発には長い時間がかかるものがあったりして。 そういうところをうまくキャッチボールできない時期から、ちょっとずつ歯車がかみ合い始めて、プレイヤーさんからも期待の声を頂き続けていた、というのが本当に力になりましたし、それがあったからここまで来ることができました。そういうことを、感謝とともに伝えたいですね。 ──コミュニケーションの力みたいなものが、ゲームの運営自体の支えにもなっているということですね。 鈴木氏: 当初開発運営で考えていたゲームのモデルと、お客さまから実際にいただくご要望やデータを見た時に、ズレがあった部分というのはあって。そこが不満として「『ブルプロ』よくないよね」と言われている箇所が多々ありました。 そこに対してちゃんと向き合って変えていかないといけないけど、時間のかかるものも多かったので、できるところから優先順位をつけて徐々に改善してきたという形です。 ──プレイヤーの声はしっかり届いていて、問題も把握しているけど、現実の問題とも折り合いをつけなければならないと。 鈴木氏: いまの『ブルプロ』がアンケートなどでよく言われるのは、やりこみ要素がないということです。 スクリーンショットや街の雰囲気を楽しんでいただいている方がいる一方で、もっとゲーム部分を楽しみたい、もっとこの世界で遊んでいたいのにやることがない、という状態でした。毎月のアップデートは入れているのですが、結局代わり映えがしなかったんです。 そこで今回のアップデートでは、やりこみ要素を追加し、そこを突き詰めた先の目標をきちんと提示するということをしました。そして、その目標を達成するためには、たくさんミッション周回をしなければならないので、そうした時の心の変化が起きるように、ラッキー要素の楽しさやうれしさみたいなものも向上させています。 ──単なる要素追加というよりは、ゲームの遊びかたみたいなところに変更が加わったんですね。 鈴木氏: 今回のアップデートはエンドコンテンツのサイクルという箇所の改修なんですが、「エンドコンテンツにたどり着きやすいようにする」施策はこれまでのアップデートで行ってきました。 経験値の獲得量を上げてレベル上げをしやすくしたり、武器を配布したり、クリア率の低いミッションにも調整を入れました。始めやすく、エンドコンテンツに辿り着きやすいゲームになっているので、過去にやめてしまった人にも、もう1度プレイしてもらえると嬉しいですね。 ──ストーリーを進めるだけなら、本当にスムーズに進行できるようになっている印象があります。リリース初期のころ「天恵の聖堂」がソロでは難しくて。あの周辺にはすごくたくさんのプレイヤーがいたので、その場で呼び掛けてパーティを組んで……という、すごくオンラインゲーム的な体験をしたのを覚えています。 福﨑氏: そういった箇所の改善はしてきているので、エンドコンテンツも早い段階で楽しめるようにはなっていると思います。 あとは、今回の「フチ座り」のような、シチュエーション部分の機能は今後も増やしていきたいですね。エンドコンテンツが縦の広がりだとすれば、横の幅に相当するような、ちょっとしたミニゲームだとか、ゲームの進行度に関係ない遊びは、いろいろ出していきたいですね。 不具合の修正やシナリオの追加など、「やるべきこと」はあるのですが、それと同じくらいこだわっている機能やシチュエーションという「やりたいこと」もあるので。今後もバランスを取りながらアップデートしていきたいと思っています。 下岡氏: アステルリーズは、いつ戻ってきても拒絶しないような街になっていると思うし、そういうシステムは今後も用意しつづけると思います。 僕は最近深夜4時ごろに『ブルプロ』をプレイすることがあるんですが、人の少ない時間帯なので独特の結束感があるんですよね。いっとき離れてたけど戻ってきた人の復活祝いをやっていたりするんですよ。 そういったゆるい繋がりだとか、街全体がウェルカムな状態なのが『ブルプロ』の良さだと思っているので。キャラを消さない限りは、いつ帰ってきても自分の居場所があると思います。 福﨑氏: 結局今の『ブルプロ』の空気感って、僕たちが準備して仕込んだ部分もあると思うんですが、プレイヤーさんたちの中で作り上げた雰囲気という部分もかなり大きいと思っています。その空気感を壊さないように、うまく維持しながら、より良いものに繋げていくことを目指したいです。 ■「トレハン・ハクスラ的な方向性」を目指したアップデート ──この1年を振り返ったとき、ゲームとしての転換期として「武器ドロップ率の大幅アップ」や「限界突破の実装」のアップデートかと思います。『ブルプロ』の遊びかたが大きく変わったのかなと。 下岡氏: あのときのアップデート( Ver.1.02.100 )があったからこそ、今回のアップデート( Beyond)が「トレハン・ハクスラ的な方向性」に定まったというのは多分にあります。 当時は武器ドロップというとただのラッキー要素で、基本的には武器はクラフトで作るものでした。ただ、武器を作るためにはいろいろな素材を拾って、そのうえでたくさん周回をして……。とにかく時間のかかるゲーム性になってしまっていたんです。ですので、かなり早い段階から「トレハン・ハクスラ的な方向性」を目指していました。 鈴木氏: 「トレハン・ハクスラ的な方向性」のほうがプレイヤーのみなさんが求めているものに近いだろうという感触はあったのですが、その規模のアップデートになると実装するまでに時間がかかってしまう。ですので、まずは武器ドロップ率の調整や限界突破の実装など、できることから順次に実装していたわけです。 ──今回のアップデートでは「ヴァリアントアリーナ」という、パーティを組んで参加するランキングコンテンツも追加されましたよね。 鈴木氏: 「ヴァリアントアリーナ」は最高難易度のコンテンツという扱いです。4ヵ月をワンクールと位置づけて、プレイヤーのみなさんには期間内のクリアを目指して挑戦していただきます。 最初のうちはとくに難易度が高く、時間経過とともにより強力な装備が提供されていき、徐々に難易度がマイルドになっていく、という流れです。その分、早くクリアできた人にはランクの高い勲章が付与されるようになっていますし、クリアタイムを競う形にもなっています。 下岡氏: 今回のアップデートでは武器の効果にレア度の概念も導入されて、より強力な装備が手に入るようになりました。ただ、せっかく強い装備が手に入ったら、その活躍の場がほしいじゃないですか。それが最高難易度コンテンツを用意したという側面もあります。 ──最高レアリティのレジェンダリー武器はこれまでの武器と比べると明確に強さが違って、ゲーム体験も変わってきそうですね。 鈴木氏: レジェンダリーは……かなり変わりますよ。 下岡氏: あれはもう……ヤバイよね。プレイヤーさんがその場のヒーローになれるようなことは起きると思います。 福﨑氏: レジェンダリーの効果に関しては、説明文を読んだら使いたくなるような、ロマン的なところを重視して作りました。 「自分にはこのレジェンダリー合わないな」という好き嫌いが発生するのも許容しているくらいです。ただその分、わかりやすいスーパープレイが発生するようなことにはなると思っています。 ──パーティの窮地を救って、「お前すごいじゃん」みたいな感じですよね。 下岡氏: そういったスーパープレイや、ヒーロー的な体験をしたあとに、会話が生まれることが重要ですよね。言いかたは難しいですが、究極のエンドコンテンツって「チャット」みたいなところがあると思っているんです。 今日は『FFXI』の話に始まり、本当にたくさんのことを喋らせていただきましたが、それはやっぱり思い出があるからということに尽きると思うんです。 いつでも戻ってこれるし、それが何年か経ったときに、思い出として語れるってことが、オンラインゲームのよさだし、『ブルプロ』もそうありたいなっていうのはありますよね。 福﨑氏: いっしょにゲームを遊んでいた人同士だといくらでもエピソードトークができちゃいますよね。『ブルプロ』もそういった思い出に残っていくことが目標だと思っています。思い出に残るためには、感情の振れ幅が大切なので。そういうものを作り出していきたいです。 下岡氏: プレイヤーのみなさんはけっこうな時間をゲームの中で過ごされますよね。 僕の持論ですが、それって本当の生活とそこまで変わらないと思うんです。そこには本当の友人と本当の友情があるから、共有した思い出はいつまでも残りますし、それが『ブルプロ』の目指していきたいところです。 福﨑氏: ……今日お話していて、また『FFXI』を遊びたい気持ちがでてきました(笑)。 一同: (笑)。 『ブルプロ』開発陣による『FFXI』での強烈な原体験。それは「(画面の)向こう側にいる人」との交流であり、接する相手が人間だからこそ感じられる楽しさ。人間同士だからこそ育まれた思い出だった。 開発陣がかつて謳歌したそんな体験を『ブルプロ』でも……。そんな思いが込められた本作には、決して機能的ではない、ゲーム的には大きな意味がない、「無駄なところ」がある。しかし、それこそがMMOらしい雰囲気を作っており、居心地のよさに繋がっているのだろう。 そんな理想だけでなく、プレイヤーの寄せる期待との「ズレ」についても向き合ってきたこの1年。「やりこみ要素が少ない」とも評されたリリース初期の状態から、アップデートを重ね、改善に取り組んでいる。「トレハン・ハクスラ的な方向性」に舵取りをした本作が、今後どのような体験をプレイヤーに届けていくのか。2年目の歩みを見守りたい。 「アステルリーズは、いつ戻ってきても拒絶しないような街になっている」──そうある限り、『ブルプロ』の世界は人と人との思い出を紡いでいく場所になり続けそうである。
電ファミニコゲーマー:
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