定年後の再就職「成功する人・しない人」の決定差 従来の知識・やり方を手放すことも時には大切
勤務形態は週3日のテレワーク。社員から寄せられる労務相談の一時窓口としてオンラインでのヒアリングを行っている。 会社員時代に培った労務の知識やコミュニケーションスキル、そして年齢を重ねたからこその落ち着きと包容力で、社員から「安心して相談できる」「聴いてもらえて気持ちが楽になった」と評判だという。 Aさん自身も、「まさか話を聴くだけで役に立てるとは」と、驚きとともに働く充実感を味わえているそうだ。
また、Aさんのように、「再就職先で活躍できる人には、ある共通したマインドがある」と中田さん。 「再就職先として案内した会社が自分に何を求めているのか? 自身の役割や立ち位置についてしっかりと聞いてくださる方は、新しい職場にもすぐに馴染み、パフォーマンスを上げている印象があります」 たとえば、「自分の上や下のポジションにどういう人がいるのか」「自分はベテランとして若手の育成をすべきなのか、それともあくまでメンバーのサポート役に徹するべきなのか」など、求められる役割や立ち位置を把握し、柔軟に変えられる人は、企業側からの評価も高いという。
■過去の経験が新しい価値に変わる 「自分はこの仕事しかできない」――。 そうして過去の経験やスキルにとらわれ過ぎて、再就職を困難にしてしまう人も多い。それもある意味、自分にかけたバイアスだが、その偏った見方を外すためにも、「経験をリフレーミングしてみるといい」と中田さんは話す。 リフレーミングとは、物事の枠組みを外して、違う視点から捉え直してみること。 これまで培った自身の経験を棚卸しして、リフレーミングしてみると、思いも寄らぬところで必要とされる“価値”に変わることがある。
その一例が、長年プリンター・複合機のメーカーに勤めてきたBさん(65歳)だ。会社では得意先への「ルートセールス」を行っていて、主な商談相手は中小企業の社長だった。 Bさんは日々得意先を回る中で社長との距離も近くなり、中小企業の経営者ならではの悩みも聴くように。ときには解決につながるようなサポートをすることもあった。 自分ではそれが当たり前のことだと思っていたが、パソナマスターズのキャリアコンサルタントと経験を棚卸ししていくうちに、強みになると気づいた。