定年後の再就職「成功する人・しない人」の決定差 従来の知識・やり方を手放すことも時には大切
そこで出合った求人が、地方自治体が運営する中小企業の支援団体での仕事だ。 それは中小企業の社長が抱える悩みをヒアリングして、問題解決のサポートを行うというもの。まさにBさんが経験してきた仕事だった。 「Bさんの経歴を一方向で見てみると、“ルートセールス”になりますが、経験をリフレーミングして見方を変えれば、“中小企業の社長の相談役”とも言えます。 過去の経験について、自分で棚卸ししていくのもいいですが、壁打ち相手を見つけて話すことで整理されやすくなります。
シニアを対象とした人材エージェントのキャリアコンサルタントの力を借りるのも一考かもしれません」 ■定年後はジョブ型に、求められる専門性 前記事でニッセイ基礎研究所・上席研究員の前田展弘さんが解説していたように、Ⅱ層シニア(定年を迎えた“普通”の元会社員や公務員)は、スキルや経験が広範囲にわたる「ジェネラリスト」の傾向が強い。 すると、自身の強みや専門性が見えにくく、再就職先とのマッチングもしにくくなる。
というのも、再就職の求人は、求める職務内容やスキルが明確に決まっている「ジョブ型」が主流だからだ。 「これまでの長い会社員人生で携わった、さまざまな仕事や役割は定年と同時にすべて取り上げられ、その先は『ジョブ型』に移行することになります。 そういう意味でも、50代のうちに、あるいは再雇用の5年の間に、『自分は最終的にどの仕事のプロとして生きたいのか』、自身の強みや専門性を極めておいてもらえると、セカンドキャリアにスムーズに移行しやすいです」
ただ、専門性を極めたとしても、「その仕事が他社でも通用するのか」という視点も持ち合わせておくべきだ。 たとえば「人事のプロ」「生産管理のプロ」と言っても、それはあくまで自社で培った専門性ややり方であり、他社でもプロとして通用するとは限らない。 「従来の知識ややり方だけに固執せず、ときに軽やかに手放し、新しい学びを取り入れる『アンラーニング(学習棄却)』も必要」と、中田さんは強調する。 ■与えられた仕事の中で何にやりがいを持てたか