S&P500投信「本当のコスト」独自計算【今期最安はコレ】eMAXIS Slim、楽天・プラス、野村はじめてのNISA対決
日本一巨大な投資信託「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が信託報酬引き下げ。そこで人気の低コスト投信の運用報告書から最安を探る。AERA2024年12月30日-2025年1月6日合併号より。 【独自試算】インデックス投資信託 直近1年の「本当のコスト」はこちら * * * 2024年12月10日、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が信託報酬の引き下げを発表した。発表当日の純資産総額6兆2千億円、日本一巨大な投資信託だ。現在の信託報酬は0.09240~0.09372%(税込み、年率/以下同)だが、25年1月25日から0.07568~0.08140%となる。 信託報酬に幅があるのは、eMAXIS Slimシリーズが「純資産総額が増えるほど信託報酬が下がる方式」を採用しているため。現在の6兆2千億円で計算すると、投資家が取られるコストは0.07712%。米国S&P500のインデックス投資信託で最安の「楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド」(0.077%)にピタリ並んだ形である。 ■引き下げが遅れた理由 これまでeMAXIS Slimシリーズは、他社が信託報酬の引き下げを発表すると素早く追従してきた。だが、今回の引き下げ発表は遅かった。楽天・プラス・S&P500は0.09372%で23年10月27日に設定されたが、同年12月1日付で0.077%に引き下げた。そこから約1年経過している。「eMAXIS Slim、値下げ競争降りた?」の声も。 今回の引き下げに関し、三菱UFJアセットマネジメント商品開発部長の伊豫田敏朗(いよだとしろう)さんに取材した。なぜ遅かった? 「他社から安いものが出たらすべてに対しすぐ引き下げるわけではありません。引き下げ検討の対象となるかを判断し、『業界最低水準の運用コストをめざし続ける』という方針に沿って総経費率等の運用コストを総合的に勘案し決定しました」 今回は引き下げの判断材料として他社の運用報告書(楽天・プラス等/本誌推定)を待っていたと思われる。 運用報告書とは、企業でいえば決算短信のようなもの。「今期は資産がこれだけ増減しました、コストはこれだけかかりました」といった運用に関する詳細が年に1度、運用会社から公表される。楽天・プラス・S&P500の運用報告書が出たのが24年秋。三菱UFJアセットはその運用報告書も含め検討し、引き下げ発表に至った。