「くるまにポピー♪」で一世風靡 昭和の自動車用芳香剤が、令和の今も売れている! 守り続けたレトロデザインに脚光
伝説のキャッチフレーズは…
大人気を博していたグレイスメイトポピーですが、ある人物が出演したCMのおかげで、誰もが知る商品になります。 発売から3年たった1981年、2代目の忠雄社長は、CMをつくることを決意します。出演者に選んだのは関西を代表する漫才コンビとして名高い、オール阪神・巨人の2人。 「当初は広告代理店の方から、関東のタレントで打診されましたが、当時の会長が『どうせなら長く付き合える方と』と、阪神・巨人さんを起用したと聞きました」と現社長。「今でもお付き合いがあって、たまに会社に来てもらったりしています」とのこと。 また、関西の人ならだれもが聞いたことがある「くるまにポピー♪」というフレーズは、なんとCMに出演したオール阪神巨人によるアドリブから誕生したものだそう。CMの最後でポピーを置いたおもちゃの自動車に乗るオール阪神さん。「ただおもちゃに乗っているだけやと、物足りへんなぁ」という思いから、アドリブで歌い上げたフレーズが注目を集めることになりました。 CMの効果は絶大で、1992年には「グレイスメイトポピー」シリーズの累計販売個数が7000万個を突破するほどに。しかし、ブームの終焉はすぐそこまで来ていたのです。
バブル崩壊、ミニバンブームで逆風
その後、日本経済はバブルが崩壊。芳香剤も低価格の商が流行しますが、ポピーが低迷した理由はそれだけではありませんでした。折しもミニバンブームで、車のダッシュボードの形状が変化。車内から物理的にポピーを置けるスペースがなくなっていました。また販売から15年以上たち、「ポピーはおじさんのもの」というイメージが定着。若者たちから嫌われる風潮が出ていました。 「ポピーのデザインを変えませんか」…。そんな提案が社内でも出ていたそうですが、2代目社長は決して変更を許さなかったそう。 「こぼれにくいようにした瓶の口や芯の形状など、ポピーの考え抜かれた構造を崩したくなかった。祖父が時間をかけて作ったものを変えたくないという思いも引き継いだのだと思う」と現社長は語ります。しかし、復調の兆しは海外からやってきたのです。