TDKが7年ぶりにCM再開 BtoB企業がCMを制作する意義とは?
今月17日、TDKが7年ぶりにテレビCMを再開すると発表した。TDKのように一般消費者向けではなく、他企業に対してビジネスを行っている企業(BtoB企業)が、一般消費者に向けてテレビCMを制作するのは、どういった意図があるのだろうか。
「若い世代への認知度を上げたい」
TDK(東京都港区)が7年ぶりに発表したCMは、歌手のスティービー・ワンダーさんが演奏するヒット曲「ハイアー・グラウンド」に合わせ、ダンサーの菅原小春さんが情熱的に踊る内容だ。スティービー・ワンダーさんは30年ほど前にも、同社のカセットテープのCMに出演したことがあり、それ以来の出演となる。 しかしTDKは現在、スティービー・ワンダーさんが30年ほど前に出演した際に生産・販売していたカセットテープはおろか、CDなどの一般向けの記録媒体を生産・販売していない。同社は2007年、記録媒体事業を米企業イメーション社に売却。現在は、企業向けの電子部品を生産・販売しているBtoB企業(企業向けのビジネスを行う企業)なのだ。 では、今回のCMは、どのような効果を狙ったものなのだろうか。TDKは今回のCM制作について、「次世代の技術者やその候補となる若い人たちに、TDKに注目していただき、TDKという会社に関心をもっていただくこと」が目的だとしている。同社のビジネスが、過去のBtoC(一般消費者向けのビジネス)を含めた事業から、BtoB事業に特化していく中で、「一般の方々、特に若い人への認知度を上げるためのコミュニケーションメッセージが今回のCMとなります」(同社)と説明している。
企業自体の魅力を、社名とともに伝えたい
BtoB企業が行うテレビCMとして有名なのが、村田製作所(京都府長岡京市)だ。電子部品を生産・販売する同社は、1991年より、1~2年に1度のペースでテレビCMを発表している。あるCMでは、女子高校生の「『恋のドキドキ』もいつか電気をおこせるだろう」と語り、話題になった。 同社は、「村田製作所」の知名度を「独自性のある会社」という良いイメージとともに上げていけば、会社全体のイメージ向上につながると考え、CMを制作したという。同社はBtoB企業がCMを制作する意義を、「製品ではなく、ムラタという企業自体の魅力を伝えることが、顧客に選ばれるために必要」だと語る。 TDKと村田製作所というBtoB企業に共通するのは、CMを制作する意義を、製品の宣伝ではなく、企業自体の良いイメージを多くの人に伝えることで、認知度や好感度といったブランド価値を上げたいと考えていることだ。一方で、同じBtoB企業でも、全く異なる目的でテレビCMを行っている企業がある。