TDKが7年ぶりにCM再開 BtoB企業がCMを制作する意義とは?
「商品」を売るためにテレビCMを作るベンチャーも
法人向け名刺管理サービスを開発・販売しているSansan(東京都渋谷区)は、2013年より、俳優の松重豊さんらを起用したテレビCMを制作している。CMでは松重さんが法人営業でよくある課題をコミカルに演じ、2013年に第51回ギャラクシー賞のCM部門選奨にも選ばれた。ペプシ、ドコモ、ガンダムといった一般消費者向けのCMの中で、唯一のBtoB企業の受賞だった。選評では、「分かりやすいので、売り物のサービスが確実に伝わって成功しています」というコメントだった。 TDK、村田製作所といったBtoB企業が、主に会社のブランド価値を上げるためにテレビCMを制作しているのに対し、Sansanは自社の「名刺管理サービス」という商品を宣伝するためにCMを制作しているのが違いだ。Sansanにとって一般向けにテレビCMを制作することは、売り上げにつながるという。実際、テレビCMを導入してから、売り上げは倍以上に伸びた。 Sansanは、テレビCMを制作する意義を次のように語る。「Sansanは2007年に創業したベンチャー企業です。CMを制作することで、企業・サービスの信頼度を上げることが狙いです。(クラウド型名刺管理サービスという)全く新しいサービスなので、知名度、信頼度を上げることが、相手企業での導入につながると考えました」。さらに、「名刺管理」というサービスが、他の企業向けの商品・サービスと異なりイメージしやすいもので、30秒というCMでも伝わりやすいことも、テレビCMを制作した理由として語った。 Sansanの事例を考えると、BtoB企業だからテレビCMは売り上げに直結しないとは、必ずしも言えないようだ。 (中野宏一/THE EAST TIMES)