ソフトバンクが上沢直之を獲得調査と報道も… 選手から「FA権の意味がなくなる」と反発の声
■ポスティングを認めないソフトバンク ポスティングシステムは海外FA権を持たない選手がメジャー挑戦を希望した際、球団が容認することで使われる制度だ。これを容認するかは球団によって姿勢が異なる。ソフトバンクはポスティングに否定的で、千賀滉大(メッツ)はソフトバンク在籍時に契約交渉の席でポスティングシステムを利用したメジャー挑戦を希望したが認められず、海外FA権を獲得した22年オフにメッツに移籍した。 セ・リーグ球団の選手は複雑な思いを口にする。 「FA権を取得することは野球人生において特別な意味を持ちます。千賀さんはずっとメジャーに行きたかったけれど、ソフトバンクはエースとして必要としていたし、ポスティングシステムの許可がなかなか出なかった。海外FA権は文字通り勝ち取った権利だと思います。上沢の野球人生なので口出しする資格はないかもしれませんが、これで日本ハム以外の球団に移籍するようだったら、海外FA権の意味がなくなる。球団サイドもポスティングシステムの利用を渋るようになるかもしれない」 ポスティングシステムを利用してメジャー移籍した選手が、日本球界に復帰する際に古巣に戻らなかったケースはある。西武のエースだった松坂大輔はソフトバンク、ヤクルトの中心選手だった岩村明憲は楽天に移籍している。ただ、彼らと上沢は日本球界に復帰する背景が全く違う。 「2人はポスティングシステムを利用した際にメジャー契約で球団に多額の譲渡金を入れています。また、メジャーで松坂は8年、岩村は4年間プレーした。上沢の場合は米国で挑戦した期間がまだ1年です。家庭の事情など色々あって、日本球界を模索しているのかもしれませんが、今オフに日本ハム以外の球団に移籍となったら、『FAの抜け道』と言われても仕方ない」(スポーツ紙デスク) ■メジャー2年で日本の他球団に移籍した「有原式」 物議を醸したのは有原浩平(ソフトバンク)のケースだ。有原は大卒後に日本ハムで6年プレーし、ポスティングシステムを球団に認められてメジャーに挑戦。レンジャーズで2年プレー後、日本球界に復帰するにあたって古巣の日本ハムではなくソフトバンクに入団した。国内FA権取得のためには大卒の場合1軍の登録日数で累計7年が必要なルールだが、2年間の海外生活を経てNPB他球団へ移籍したことで、「有原式FA」と揶揄された。 スポーツ紙記者は、「本来はこの時に『米国で3年以上プレーせずにNPBの球団に移籍する場合、獲得の優先順位は元に所属していた国内球団にある』といった条項を新たに設けるなど、ルール整備をする必要があった。上沢に限らず、今後も同じような問題が起こる可能性があります」と警鐘を鳴らす。