美しく優しく、そして強く…身長170センチでも期待値無限大 オールスターにも選出されたPFUブルーキャッツ石川かほくの23歳オールラウンダー【SVリーグ女子】
バレーボールの「大同生命SVリーグ」女子が4、5日の両日に全国各地で行われた。佐賀県鳥栖市のサロンパスアリーナでは、SAGA久光スプリングスとPFUブルーキャッツ石川かほくが2日間、計2600人の観衆の前で熱戦を繰り広げた。 ■「ブルーキャッツポーズ」を決める川添美優&上村杏菜【写真】 北陸から遠路九州に乗り込んできたPFUにとって、結果は悔しい2試合連続のストレート負けとなった。それでも2024~25年シーズンの後半に向けて楽しみなアタッカーが何度もコートを沸かせた。長崎県出身で、福岡大から加入して1シーズン目のアウトサイドヒッター、川添美優(23)だ。 新年初戦の4日。SAGA久光に2セットを連取され、後がない第3セット中盤だった。途中出場でコートへ向かう背番号「9」の新鋭に、ウオームアップエリアから会場全体に響き渡るような大きな声が飛んだ。「ミユ、いけー!」。力強い声の主はPFUのキャプテンでミドルブロッカーの細沼綾(24)だった。 「彼女はちょっと前にけがをしていたので、今日は久しぶりに試合の感覚を味わったんじゃないかなと思います。(復帰に向けて)頑張っていた姿を近くで見ていたので、つい…」 そう明かした細沼は、チームの公式ホームページで川添を「推し選手」に挙げている。「チーム一のオールラウンダーで、キャッチもスパイクもサーブも全部バランスが取れている。チームに一人はいてほしい存在なんです」と、その理由を説明してくれた。 この細沼の言葉を、川添は先発した翌5日に実証した。アタックでの23打数(7得点)はチーム最多。11回打ったサーブの効果率18・2%もチームトップの数値で、終始劣勢の中でサービスエースも決めた。身長170センチの川添にとって、大型の選手をそろえるSAGA久光の「高さ」は大きな壁ながら、ひるむことなく果敢に立ち向かい、右腕を振り続けた。 SAGA久光からターゲットにされたサーブレシーブでもチーム最多の28本を受けた。「私は高さがない分、ディフェンスで貢献しようと今シーズン思っているんですが、全く活躍できなかったのが…」。チームを勝利に導けず、自身のパフォーマンスには納得していなくても、川添にはサロンパスアリーナで初開催となったリーグ戦に特別な感情を抱いたようだ。 「(PFUに入団してから)なかなか九州で試合をする機会がなくて、家族や大勢の友だちが来てくれた中でプレーすることができて、うれしかったです。日頃会えない分、何とか恩返しをと思っているので、プレーしている姿を見せられて良かったです」 1月25日にホームアリーナの「とり野菜みそBLUECATS ARENA」(石川県かほく市)で開催されるSVリーグ女子のオールスターゲームにも選出された。期待が高まる一方の川添に、細沼は改めてエールを送った。「これから他のチームにとって、嫌な選手になってくれると思います。この機会にぜひ彼女のことを覚えてもらいたいですね」。その名のごとく「美しく」「優しく」そして「強い」オールラウンダーへ、年女の躍進物語が始まった。(西口憲一) ◆川添美優(かわぞえ・みゆ)2001年9月22日生まれ。長崎県大村市出身。創成館高(長崎)から福岡大に進学。3、4年時にはエースとして全日本大学選手権(インカレ)で3位入賞に貢献し、2年連続でベストスコアラー賞を受賞。23年12月にPFUブルーキャッツ(現PFUブルーキャッツ石川かほく)への入団内定が発表された。宮崎県出身のラッパーGADORO(ガドロ)のファンで、曲の歌詞にある「水の中で泣いてる人の涙に気付けるような人になりたい」という言葉を大切にしている。背番号「9」。 【#OTTOバレー情報】