韓国、軍偵察衛星3号機打ち上げ成功…「北の挑発兆候を立体的に識別可能」
韓国軍独自の偵察衛星3号機の打ち上げが21日に行われた。7年前に始まったいわゆる「425事業」が昨年12月の1号機で初めて実を結んでから1年で3号機を宇宙軌道に投入するところまで進んだ。韓国軍当局は来年に2機をさらに打ち上げ、全5機で425事業を終えた後、2030年初めには追加で小型・超小型衛星も確保する計画だ。「攻撃の兆候が差し迫れば先に北朝鮮を制圧する」というキルチェーン概念に完ぺき性を加える過程だ。 国防部によると、425事業3号機衛星は米カリフォルニア州バンデンバーグ宇宙軍基地で午後8時34分(現地時間21日午前3時34分)に打ち上げられた。ロケットは昨年12月2日と4月8日にそれぞれうちあげられた1号機・2号機と同じくテスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が設立したスペースXの「ファルコン9」ロケットに載せられた。 3号機は打ち上げ51分後の午後9時24分に正常にロケットから切り離され目標軌道に進入した。打ち上げ成功を判断する地上局との本交信は打ち上げ後約2時間56分が過ぎた午後11時30分に行われた。その後2週間かけて太陽電池パネルとアンテナ反射板展開、プラットフォーム機能確認、衛星正常動作など初期運営(LEOP)計画を遂行し、早ければ6カ月後には戦力化する予定だ。打ち上げられた1号機は8月に戦力化され、2号機は運用試験評価が進行中だ。 中大型衛星確保事業である425事業は、1号機の電子光学(EO)・赤外線(IR)衛星、2~5号機の高性能映像レーダー(SAR)衛星で構成される。衛星の種類を別にしたのは互いの短所を補完し長所を最大化する狙いがある。韓国軍当局者は「1・2・3号機は韓国初の衛星群集運用を通じて地球を1日数十回公転する。標的の動きを常に確認できるだけでなく、標的の特性に合ったセンサーを活用して北朝鮮の挑発兆候を立体的に識別できる」と話した。 1号機のEO・IR衛星の場合、高度400~600キロメートルの太陽同期軌道で韓半島(朝鮮半島)を1日2回一定の時間に通過する。毎日一貫した観測条件で地上を直接撮影し対象物を識別する能力は優れるが、影など気象状況の影響を大きく受けるという短所がある。 これに対しSAR衛星はレーダー電波を発射して反射した信号を受信する原理で運用される。特定地域の偵察に最適化した傾斜軌道で韓半島を1日4~6回通過する。レーダー映像であるだけに専門家の別途の分析手順を踏む追加作業が必要だが、気象に関係なく昼夜全天候衛星映像の獲得が可能というのが長所だ。軍関係者は「年中70%以上天気が曇る韓半島では2種類の衛星を同時稼動して確認する作業が必須。EO・IR衛星が蓄積した北朝鮮の地上情報が一種のデータベースとして便利に活用されるだろう」と話した。 軍当局は中大型衛星5機以上を打ち上げる追加事業とともに、2030年代初期までに小型・超小型衛星40~50機を打ち上げる計画も立てた。425事業が完了すれば北朝鮮を2時間周期で確認できるが、小型・超小型衛星数十機まで加勢すればこの周期を30分以内に短縮できるものと軍当局は期待する。北朝鮮が保有する固体燃料ミサイルの燃料準備時間が20~30分である点を考慮すれば、北朝鮮の異常動向を捕らえる確率をそれだけ高められることになる。 一方、昨年11月に偵察衛星を宇宙軌道に上げた北朝鮮は年内に3機を追加で打ち上げると公言したが、5月の打ち上げ失敗後は追加の動きに依然として慎重な姿だ。韓国軍当局は北朝鮮が失敗を繰り返さないためにロシアから完成品として持ち込んだ液体酸素とケロシン(灯油)を使う新型エンジンと既存の打ち上げシステムを誤差なくまとめる作業に心血を注いでいるとみている。切迫した兆候はないが、燃焼試験などを通じ準備が終わればいつでも打ち上げに出るだろうという意味だ。 これと関連し、米政府系ラジオのボイス・オブ・アメリカ(VOA)は民間衛星会社プラネットラボの19日の衛星写真を分析した結果、平安北道東倉里(ピョンアンブクド・トンチャンリ)の衛星打ち上げ場に衛星組み立て建物が相当部分完工しており打ち上げ場の埠頭施設も拡張されたと報道した。ただ打ち上げ場近代化作業を打ち上げが迫る直接的シグナルとみるには無理との見方も少なくない。