10年前に離婚し、息子の大学卒業を機に再婚しました。再婚相手には幼い子どもが2人、“もしものとき”に再婚相手と子どもに財産が多く残るようにしたい! 可能でしょうか?
再婚と相続
子どもを持つ親同士が再婚した場合、お互いの子どもと養子縁組をしないかぎり、再婚相手の子どもに相続権はありません。同様に前妻の間の子どもには、後妻の財産を相続する権利はありません。つまり、一緒に生活していても法律上は親子ではないので、その子どもは再婚相手が死亡しても相続人にはなりません。 再婚相手の子どもと養子縁組した場合には、その子どもは相談者の第一順位の相続人となります(民法809条)。万一のとき、再婚相手の子どもに財産を残す方法として養子縁組を検討しましょう。相続人が増えることで相続税の基礎控除が1人につき600万円増えるので、相続税の節税になります。ただし、実子がいる場合は基礎控除に算入できるのは1人までです。 相談例のケースでは、法定相続人は再婚相手(後妻)とその子ども、および相談者の実子となります。
再婚と遺言
遺言がない場合、遺産の分け方は法定相続分が目安です(民法900条・902条)。今回の相談例は再婚相手(後妻)の子どもが幼少なので、今後の養育費や学費のことを考える必要があるでしょう。自分が万一のときに再婚相手(後妻)と子どもに財産を相続させたい場合は、遺言を作成しておくのが有益です。 遺言は、自筆証書遺言に比べ手数料はかかります。公正証書遺言で作成しておくと、法律の専門家が作成し、公証役場で保管されるので、遺言の形式不備等により無効になるおそれがなく安心です。 ただし、トラブルを回避するには、前妻の子どもの遺留分を侵害しないように遺言書を作成するとよいでしょう(民法1042条)。
生命保険金の受取人の変更
生命保険に加入している方は、多いと思われます。前妻を死亡保険金の受取人に指定していた場合、再婚相手(後妻)またはその子に受取人を変更しましょう。 離婚後そのままにしておくと、死亡保険金は前妻に支払われます。この手続きには、受取人である前妻の同意は不要なので、簡単に受取人の変更ができます。 生命保険金は受取人が指定されている場合、受取人固有の財産として扱われ、遺産分割の対象にはなりませんので、死亡保険金を巡って帰属のトラブルを回避できるでしょう。 出典 デジタル庁 e-GOV 法令検索 民法(809条、900条、902条、1042条など) 国税庁 No.4132 相続人の範囲と法定相続分 法務局 自筆証書遺言書と公正証書遺言書の比較 執筆者:新美昌也 ファイナンシャル・プランナー。
ファイナンシャルフィールド編集部