【夏休み特選】時間を無駄にしない! 絶対面白いどんでん返し映画10選!【ネタバレあり】
観る者の善悪の価値観をひっくり返す!『フレイルティー 妄執』
俳優ビル・パクストンの監督デビュー作。とある夜、テキサス州のFBI支局にフェントン(マシュー・マコノヒー)という男がやってくる。彼は全米を震撼させる“神の手殺人事件”の真犯人を知っているという。同事件の捜査担当者ドイル(パワーズ・ブース)は、不審を抱きながらもフェントンの告白に耳を傾ける。それは少年時代のフェントンと幼い弟アダムが、天使から「悪魔を滅ぼせ」という使命を授かったと主張する父親(パクストン)に導かれ、殺人に加担した恐ろしい過去だった……。 【ここからネタバレ】 フェントンの告白を映像化した過去のパートでは、父子3人が力を合わせて“人間の姿をした悪魔”を次々と抹殺していく様を描出。純真な子供の視点で描かれるその異様なストーリーからして戦慄ものだが、終盤の展開はさらにすごい。フェントンが語るオカルトじみた“神と悪魔の闘い”は本当にあった出来事で、彼こそが悪魔退治にいそしむ“神の手殺人事件”の犯人だったという驚愕の真実が明かされる。観る者の善悪の価値観をひっくり返す、斬新なミステリー・スリラーだ。
クライマックスに深~い絶望が待ち受ける!『ミスト』
郊外の静かな町を突然、嵐が襲う。その翌日に発生した深く濃い霧が、やがて町全体を覆ってしまう。何も見えない状況になり、パニックになる人々がスーパーマーケットに逃げ込むという物語。どうやら霧の中には、不気味な生物が潜んでいるらしく、スーパーに立てこもった人々の決死のサバイバルが展開する。 【ここからネタバレ】 スーパーマーケットから逃げた主人公のデヴィッドは、もう逃げ切るのは無理と判断し、同行の息子や仲間を射殺。自分も怪物の餌食になろうと決心するが、霧がしだいに晴れていく。すると軍隊が怪物を退治したことが発覚! あと少し、決断が遅ければハッピーエンドだったのに……という悲痛な結末に。
サスペンス・ミステリーとしても一級品!『瞳の奥の秘密』
第82回米アカデミー賞外国語映画賞を受賞したアルゼンチン映画。ブエノスアイレスの刑事裁判所を定年退職した初老の男性ベンハミン(リカルド・ダリン)が、25年前に自分が捜査に携わった未解決事件を題材にした小説を書きはじめる。それはリカルドという銀行員の美しい新妻が被害者となった残虐な暴行殺人事件だった。かつての同僚で、今は検事として活躍するイレーネと再会したベンハミンは、容疑者のゴメスを取り逃がした当時の記憶をたどっていく……。 【ここからネタバレ】 現在と過去のふたつのパートから成る本作は、主人公ベンハミンと彼の憧れの女性イレーネが織りなすメロドラマでもある。しかし軍事政権下で闇に葬られた殺人事件のおぞましい成り行きと、終盤に描かれる真相の衝撃性は、サスペンス・ミステリーとしても一級品。最愛の妻の命を奪った憎き犯人をただならぬ執念で追い続けていたリカルドは、法では裁かれなかったゴメスを自らの手で“終身刑”に処していたのだ。人間という生き物の情念の深さに驚嘆せずにいられない一作だ。