【夏休み特選】時間を無駄にしない! 絶対面白いどんでん返し映画10選!【ネタバレあり】
少女エスターの本性とは!? 『エスター』
3人めの子供を流産したことから情緒不安定に陥った妻ケイトのために、夫のジョンは新たに養子を迎える。孤児院から引き取られた、その子供、エスターは聡明で礼儀正しい9歳の女の子だった。しかし、首と手首に巻かれたリボンを決して外そうとしない。やがてケイトは彼女の挑発的な態度を気にしはじめるが、夫は気のせいと取り合おうとしない。さらにエスターの不審な行動はエスカレートし、ジョンとケイトのふたりの実子を脅迫。さらには孤児院から様子を見に来たシスターを殺害してしまう……。 【ここからネタバレ】 その後、エスターはあろうことか、ジョンを誘惑するという9歳の少女とは思えない驚くべき行動に出る。ここで明らかになるのは、難病のために身体の成長が止まってしまったエスターが、実は33歳であったこと!あどけない顔をしながら、手段を選ばずほしいものを手に入れようとする彼女の狂気に、戦慄を覚えずにいられない。ちなみにエスターを演じたイザベル・ファーマンは本作の撮影時は11歳の子役だったか、その怪演は鮮烈!
人種問題をテーマに据えた前代未聞ホラー!『ゲット・アウト』
コメディアン出身のジョーダン・ピールがその才覚をホラー領域へ逆噴射させた、なんとも奇妙で、社会派な初監督作。ブルックリン在住のアフリカ系のクリスは、白人の恋人ローズの実家へ初めて挨拶に向かう。そこで出会ったアーミテージ家の面々は、リベラルを自称しつつ、屋敷内で見かける使用人はなぜかアフリカ系ばかり。その上、ガーデンパーティに集う地元の名士たちの言動もどこか変だ。この違和感にクリスは戸惑い、今すぐここを逃げ出したい思いに駆られるが……。 【ここからネタバレ】 見るからに善良そうな彼らは、拉致したアフリカ系の若者のカラダに自らの脳を移植することで若さを取り戻そうとする狂気的な人々だった。クリスは立ちはだかる恋人やその家族を倒し、なんとか屋敷から逃げ延びる・・・という筋書きがありつつ、この物語の根幹にはアメリカ社会ならではの人種や差別の問題が沁み渡っているのも重要なポイント。誰もが経験のあるコミュニケーション上の居心地の悪さを巧妙に活かした、映画史的に見ても極めてリアルで稀有なホラー作品なのだ。
文=渡邉ひかる、斉藤博昭 、相馬学、牛津厚信、高橋諭治 photo by AFLO