益子直美「45歳で不妊治療に終止符」都内から湘南への転居、心臓の病気を経て
以前は、食事中にテレビをつけていましたが、番組に夢中になって会話が減ってしまったので、いまではテレビのないキッチンでご飯を食べるようになりました。結果的に、会話がすごく増えて、食後は夫が食器を洗うという流れもでき、いいことずくめでした。 夫は、私にないものをすごく持っていて、学ばされることがたくさんあります。
■高いコートを購入「いいね!経済動かしてる」と言ってくれる夫 ── たとえば、どんなところでしょう?
益子さん:彼はつねに命が危ぶまれる競技をやってきたせいか、いつも平常心で、物事に一喜一憂したり、浮き足だったりということがないんです。 適当に受け流す概念もなくて、とにかく真面目。テレビを観ていて「ここに行ってみたいな~」とか「美味しそう!これ食べたい」と言うと、「わかった。調べておくよ。いつ行く?」と返事が返ってきます。社交辞令がないんですよね(笑)。 ── 真っすぐな方なのですね。 益子さん:適当なことが言えないので、言葉を発する前には、ちょっと考えてから話すようになりました。
彼はなにか質問をすると、ゆっくり考えてから答えるタイプですが、私は会話が途切れると心配になって、どんどん話してしまう。バレーをやっていたので、瞬発系なんです(笑)。 でも、振り返ると、そのせいで余計なことを言って失敗したことも多々あったので、彼の思慮深さを見習わなくてはと、反省する機会になりましたね。 夫は考え方がすごく前向きなので、一緒にいると元気になります。値段が高くてためらっていたコートを思いきって買ったときも、「いいね!経済を動かすって素晴らしいことだよ。直美が日本を支えているね!」と褒めてくれて(笑)。
でも、そのひと言で「高いものを買ってしまった…」という、ほんの少しの罪悪感が消えてなくなりました。いまの暮らしを楽しむことができているのも、彼の存在がすごく大きいです。 ── 50歳のときには、心臓の病気で手術も経験されています。不妊治療や自身の病気で、命と直面したことで、益子さんの価値観に変化はありましたか? 益子さん:本当に後悔しないように生きようという気持ちが強くなりましたね。 夫といつも話しているのは、「何かを選択するときは、それは幸せなのかを基準に決めよう」ということ。仕事を選択するときも、それに幸せを感じるか。あるいは、自分の人生の中でやらなければいけないことか、を自分に問いかけながら決めるようにしています。