眉ポンメイクで人気のYouTuberあいり、「友だちの出産報告なんて聞きたくない…」あの笑顔の裏には人格さえも変わってしまった5年間の不妊治療の経験も。
40代の美容系YouTuberとして活躍する、あいりさん。人気の「1分メイクチャレンジ動画」シリーズなどで見せる飾らない姿といつも明るい笑顔で、同世代女性の共感を得ています。プライベートでは、2歳になる息子さんのママ。5年間の不妊治療、その間には2度の流産などの困難を乗り越えて、45歳で初めての出産を経験。不妊治療の話と、40代での初めての子育てについて聞きました。 全2回インタビューの2回目です。 【動画】「1分メイク」「眉ぽん」で話題のあいりさんのメイク動画
卵子がほとんど残っていないとわかり、40歳で体外受精に挑戦
――約5年間、不妊治療をされていたそうですね。 あいりさん(以下、敬称略) 39歳のときに夫と結婚して、すぐに自分の体の状態を調べに行きました。卵管造影(らんかんぞうえい)をして問題なかったので、まずはタイミング法からスタート。そこからステップアップして、人工授精(じんこうじゅせい)をするときに、一緒に「AMH検査」(発育過程の卵胞の数を推測することができる検査)をしました。その検査で卵子があまり残っておらず、まもなく閉経する可能性が高いという驚きの数値が出てしまったんですね。先生から、この状態であればすぐにステップアップしたほうがいいですと言われました。そのとき、40歳を越えたころだったのですが、体外受精(たいがいじゅせい)に切り替えました。 不妊治療中、夫の支えはすごくありがたかったです。具体的に何かをしてもらうというよりは、話を聞いてくれたり、治療について理解してくれるなど、寄り添ってもらえることが一番うれしかったです。私の場合は、病院の送り迎えをしてくれたり、治療に快く同意してくれたりと、見守ってくれるほうが精神的に楽でしたね。 あの5年間は、身体のことよりも、精神的な部分が一番つらかったです。私、あの時期は人格が変わってしまって、性格がかなり悪くて…(笑)。正直、だれの出産報告も聞きたくないし、劣等感で自分を大嫌いになってしまうぐらいでした。今思うと、子どもがいようがいまいが幸せなはずなのに。子どもがいないことで、自分がものすごく不幸なんだと思い込んでしまいました。一時期は、それで体調まで崩して寝込むこともありました。でも、今思うとそれが妊活にとって一番よくなかったのかも…。 ――気分転換をしたり、治療をお休みすることはあったのですか? あいり どんなにメンタルがやられてしまっても、治療だけは休めませんでした。私の場合、治療をお休みできる年齢じゃないと思っていたからです。でも、そこで頑張りすぎちゃったのもよくなかったかなと。今なら、あのとき休んでもよかったんじゃないかと思います。治療をお休みすることはありませんでしたが、普段の生活では、なかなか予約が取れないおいしいお店に夫と食事に出かけたり、愛猫とまったり過ごしながら気分転換していました。 実は不妊治療を始めたときに、治療は45歳でやめようと決めていました。44歳を迎えて、いよいよ治療も残り1年になったときに、なぜか少し気持ちが楽になったんです。そこから夫と猫ちゃんと過ごす日々をもっと充実させるべく、旅行に行くならどこに行きたいかなど、これからの『2人と1匹の生活』を思い描き始めました。その一方で、最後1年の不妊治療を後悔しないように、できることは全部しようとも思い、妊活にいいと言われている足ツボや鍼(はり)などいろんなところに行き始めました。 赤ちゃんができる前の1年間はそんな感じで、体力的にも精神的にも充実していたように思います。それが結果的にいい方向に行ったのではないかなと思っています。それと、いろんな方から血流が大事だと教えてもらい、血流がよくなるよう意識しながら過ごしていました。 妊娠がわかったのは、44歳になって4カ月たったころでした。それはもう言葉にならないほどうれしかったのですが、2回流産の経験があるので「また、同じようになってしまったらどうしよう…」と、怖い思いが先立っていましたね。毎回健診に行くのが怖くてたまりませんでしたが、前に流産してしまった週数を越えても、しっかり心音が確認できたときが一番うれしかったかもしれません。そして安定期を迎えられたときに初めて、安心できた記憶があります。 ただ、5カ月~6カ月のころに出血してしまい、切迫流産(せっぱくりゅうざん)で2週間ほど入院したこともあり、妊娠生活は出産まで気が抜けなかったです。