なぜすでに辞任の山根明・前会長を永久追放処分にするのか。その3つの理由とは
日本ボクシング連盟は15日、都内で理事会を行い、助成金の不正流用や不正判定、パワハラなどに関与した責任を取って8月に辞任した“ドン”山根明・前会長(79)を除名処分とする方針を固めた。今日16日の総会で議案が提案され、処分内容も含めて承認されれば、定款に沿って山根氏に通知、弁明の機会を与えた上で、来年2月に行われる総会で正式決定する。また山根氏の息子で副会長だった昌守氏、事務方として山根氏を支え、助成金の不正流用問題に関与していた内海祥子・元常務理事の2人にも同様に除名処分、専務理事だった吉森照夫氏には、新体制への協力を評価して一段階軽い資格停止処分を課すことも提案される。除名処分は、事実上のアマチュアボクシング界からの永久追放処分で、都道府県連盟の役職どころか一般会員としても復帰できなくなる。 なぜ騒動から4か月も経過してから“ドン”山根氏に永久追放と言える除名処分を課すことになったのか? 連盟の内田貞信会長は、「辞任して一定の責任をとったが、今なお連盟に恫喝を行ったり、理事や会員を不安にさせる行動をとっている。また第三者委員会の報告書の中でも一連の不正など問題を起こした責任者へ厳しい処分を求める方向性も指示されている」と説明した。 関係者の話を総合すると主な理由は3つある。 ひとつは、山根氏が会長辞任後も連盟関係者らへの恫喝行為を続けていたこと。山根氏が“根城”としていた関西事務局は閉鎖となったが、辞任後も、山根氏の私物が事務所内に残されており、なんの連絡もなく、事務所に荷物を取りにきた山根氏が、鍵のかかっていた事務所内に入れなかったため日本連盟に連絡してきて、「どないなっとるんや。俺の荷物を今すぐ返せ」などと、怒鳴り散らすなどしたという。 また山根氏が、会長専用車のように乗り回していた連盟所有の高級車の処分を検討していたところ「お前らを俺の車に乗せるつもりはない」などと“恫喝”。山根氏が車の鍵を手放さなかったため連盟の顧問弁護士が「法的手段を取る」と連絡を取ると返却したという出来事もあった。 都道府県連盟の理事や関係者に関しても、今なお“世界の山根”“男山根”の高圧的な態度で接して、似たような“被害”があり、不安を抱えている関係者が少なくないという。 実際、関西連盟は、先日、新しい理事長、会長を選出したが、山根前会長の“側近中の側近”と言われていた人物が就任。 山根前会長の辞任前とまったく変わらず、いつでも山根前会長が戻ることのできる組織の体制が維持された。 山根前会長の“悪事”を告発し、今回の改革のムーブメントを作った「日本ボクシングを再興する会」に協力していた関係者からは「連盟の体制が刷新されたのに、山根前会長のお膝元の関西は、何も変わっていない。このままでは、いつ揺れ戻しがあるのか不安だ」との声があがっていた。それらの不安を打ち消すためにも“永久追放”が必要だった。 また連盟は辞任後もテレビのワイドショーなどへの出演を続けて「俺は正しい」と間違った主張を続けていることも問題視した。助成金の不正流用に関しては認めているが、“奈良判定”など、その他の不正やパワハラ行為を正当化するような発言もあり、その影響力を考えると、しっかりと一線を引いておく必要があると今回の除名処分判断にもつながった。