むやみに「頑張って!」と言ってはいけない?【里崎智也×五十嵐亮太のライフハックベースボール!】第25回
■遊び感覚があれば、悲壮感や「頑張っている感」はなくなる 五十嵐 ちなみに、サトさんの場合、周りの人に「頑張って!」って言われたら、何て返すんですか? 里崎 「えっ、何を? 何を頑張るの?」って聞き返します。 五十嵐 絶対ウソだ(笑)。いくらなんでもそんなことを言えるわけないじゃん。絶対にウソですよ。 里崎 僕は気分で生きているんで、ちょっとイラついているときには、平気で「えっ、何を頑張ればいいの?」って聞き返すけどね(笑)。 五十嵐 サトさんの場合、現役時代もそうだったし、引退後の今でも、ものすごく楽しそうに仕事をしていますよね。ストレスがなさそうっていうのか、あくまでもお金のため、生活のためという部分もあるのかもしれないけど、ほとんど「遊び」のような感じで何事にも取り組んでいるから「努力」とは無縁でいられるのかもしれないですね。 里崎 確かに「仕事に行く」という感覚じゃなくて、「テーマパークに遊びに行く」という感覚だよね。お金を払って遊びに行くんじゃなくて、お金をもらって遊んでいる感じ。 五十嵐 そうなると、始めの話に戻るけど「努力しています」というのはどうしても悲壮感が漂うというのか、"頑張ってます感"の強い、息苦しい感じになっちゃいますよね。サトさんのスタンスとは真逆というか。僕自身もサトさん的スタンスだから、その気持ちはよくわかりますね。でも、みんながみんなそのスタンスでいられるわけじゃないから、そこは誰にでも当てはまるわけじゃないのが難しいところですけどね。 里崎 僕らは人前に出る仕事だから、それなりの承認欲求もある。それが仕事を通じて満たされるし、お金ももらえるし、今の環境には満足している。だけど、それは学生時代も、プロ野球選手時代もほとんど変わっていないから、決して「誰にでもあてはまるわけじゃない」とは思わないけどな。 AかBか、あるいはCか、いくつかの道があったときに「絶対にAじゃなきゃダメだ」という考えを持っていると、「絶対にAに行かなくては」という思いで悲壮感や頑張ってます感が出てきちゃうけど、「AがダメならBでもいいや。あっ、Cもあるのか」って考えられれば、「努力しています」という感じにはならないんじゃないのかな? ――これまでの連載で何度も述べられてきたように、今の里崎さんの発言は、「自分の勝てるレースを走る」というスタンスに通じるものがありますね。さて、今回はこのへんでお開きです。では、また次回もよろしくお願いします! 里崎・五十嵐 了解です。また次回、よろしくお願いします! 構成/長谷川晶一 撮影/熊谷 貫