2軍で無双→1軍昇格も「本当は嫌でした」 大打者に“浴びた”2000本目…なぜか叱られた19歳
星野伸之氏は2年目に2軍で快進撃…7月に1軍初昇格も「行きたくなかった」
阪急の左腕・星野伸之投手(現野球評論家)は、高卒2年目(1985年)の7月に1軍デビューを果たした。1年目は2軍でも滅多打ちを食らっていたが一転して急成長を遂げた。もっとも「今だから言えますけど、本当は1軍に行きたくなかった」という。1軍ではロッテの看板打者にメモリアルヒットを許して 阪急のレジェンドに「なんで打たれたんだ」と言われたり、開き直ってプロ初勝利をマークしたりと絶えず緊迫の日々だった。 【写真】胸元も露わなドレス姿…戦力外男とセレブ女優の“格差婚”に大混乱 幸せそうな2ショット 2年目の星野氏がチャンスをつかんだのは2軍のローテーションの谷間だった。「最初の扱いは1年目と一緒。2軍戦では裏でチャートやスコアをつけたりして、たまに試合で投げるって感じだった。それがある時、先輩に『明日の先発がいない。お前ちゃうか』と言われたんです。『いえいえ僕なわけないでしょ』なんて言ってたら、次の日、西宮球場で(2軍投手コーチの)足立(光宏)さんに『お前今日先発行くぞ』って。本当にそうだったんです」。 とはいえ、それまで試合に大して投げていない。「3イニングくらいいければいいかなって思っていた」という。「先輩にも『1イニング0点に抑えれば100点だよ』と言われていましたしね。そしたら3回をゼロ。足立さんに『もう1イニング行かせたるわ』って投げたら、またゼロ。打線も7点くらい取っていたのかな。今度は『勝ち星もあるから、もう1イニング投げさせたるわ』と言われて0点。毎回何か理由をつけて投げさせてもらって完封しちゃったんですよ」 ここまでの投球は誰も予想していなかったのだろう。「みんなびっくりしていましたよ。「『星野が完封するなんて』ってね。まぁ自分もそうでしたけどね」。それがきっかけで星野氏は2軍の先発ローテ入りした。「そこから2軍で4連勝したんですよ。その次は1-2で負けたんですけど、あの試合の8回裏だったか、足立さんから『この点差をキープしろよ』とめっちゃ言われたんです。で、完投したら呼ばれて『明日から1軍に行って来い』って」。 当時19歳、高卒2年目の7月に1軍初昇格を勝ち取った。だが、星野氏は「今だから言えますけど、本当は1軍に行きたくなかったんです」と話す。「2軍が楽しかったんで、こんなに抑えられることがなかったんでね。(1軍では)また一からで、先発があるわけでもないし、すごい先輩のなかに入るわけじゃないですか。もう緊張感しかなかった。普通に『行ってきます』と1軍に行ったけど本当は嫌でした。口が裂けても言えませんけどね」。 初登板は7月9日のロッテ戦(川崎)。8回1死から2番手で登板して、2/3を無失点だった。最初の打者、芦岡俊明外野手から空振り三振を奪った。「外真っ直ぐ、インコースボール、もう1回外真っ直ぐ、インコースボール、で、カーブ。それは覚えていますね」。登板前にマウンドで中沢伸二捕手とサインの打ち合わせをしたが、2球目に知らないサインが出たという。「わからないから、真っ直ぐのボール球を投げたら、正解だったみたいですけどね」。