「遺族年金がゼロって、まさかそんな…」67歳年上妻の急逝を見送った会社員夫、年収193万円ダウンにうなだれるワケ【CFPが助言】
ケース1:会社員の夫Aさん、専業主婦の妻Bさんの場合
1つめのケースは、会社員として働いていた夫のAさんと専業主婦の妻、Bさんの世帯です。夫Aさんは持病が悪化し72歳で亡くなり、67歳の妻、Bさんが遺されました。子どもは独立していて、夫婦とは別の家で暮らしています。 【世帯構成】 ・夫Aさん…会社を定年退職し、老齢基礎年金と老齢厚生年金を受け取り。72歳で死去 ・妻Bさん…ずっと専業主婦の67歳。老齢基礎年金のみ受け取り ・子ども…(独立済み) 生前、夫Aさんは老齢基礎年金を78万円/年と老齢厚生年金115万円/年を受け取っていました。ずっと専業主婦だった妻Bさんは老齢基礎年金のみ78万円/年を受け取っており、夫婦の世帯年収は271万円でした。 夫Aさんが亡くなると、妻のBさんが受け取る年金は「遺族厚生年金」に切り替わり、金額は86万2,500円/年(=夫の老齢厚生年金115万円/年×75%)になりました。この金額だけみれば、Bさんが受け取る年金額は夫Aさんが生きていたときよりも多くなっています。 しかし、夫Aさんの老齢基礎年金78万円/年は、Aさんが亡くなった後は支給されなくなります。そのため、Aさんが亡くなる前の世帯年収は271万円だったのが、亡くなった後は164万2,500円に。年間で106万7,500円のマイナスになりました。 この夫妻の場合、住宅ローンを払い終えたマイホームを所有していて、「もしものときのために」と預貯金などの資産も準備していました。そのため収入はかなり減ったものの、妻Bさんはある程度の節約をしつつ、夫の死後も以前と同じ水準の生活を送ることができています。
ケース2:共働き会社員 Cさん、Dさん夫婦の場合
2つめのケースは、夫婦ともに会社員で共働き世帯の夫Cさんと、妻Dさんの世帯です。妻のDさんは病気を患い、短い期間で悪化。67歳で亡くなり、年下の54歳の夫Cさんが遺されました。子どもはいません。 【世帯構成】 ・夫Cさん…54歳の年下夫。会社員として勤務中 ・妻Dさん…会社を定年退職し、老齢基礎年金と老齢厚生年金を受け取り。67歳で死去 ・子ども…なし 生前、妻Dさんは老齢基礎年金を78万円/年と老齢厚生年金115万円/年、合計で193万円/年を受け取り始めたばかりでした。夫Cさんは年収300万円程度で、65歳に達していないため年金は受給していません。このときの世帯年収は約493万円でした。 先述しましたが、遺族基礎年金の対象者は、18歳未満の子がいる配偶者、または18歳未満の子ども。遺族厚生年金の支給の対象となるのは、妻、子ども、妻が死亡したときの年齢が55歳以上の夫です。 つまり、夫Cさんは、遺族基礎年金・遺族厚生年金を受け取れるいずれの条件も満たしていないということになります。そのため、妻Dさんが亡くなった後は、妻が受け取っていた分の年金額がすべてなくなり、世帯の収入は193万円もダウンすることに。Cさんは自分の収入だけで生きていかなくてはならなくなりました。 夫Cさんは、妻Dさんが亡くなったときに遺族年金がまったく受け取れないとは知りませんでした。それもあり、死亡保険を妻にかけることもしていませんでした。 この夫妻は、「便利な場所がいい」と都会の賃貸住宅に暮らしていたため、妻Dさんが亡くなった後は、遺された夫Cさんが1人で高い家賃を支払わなければならず、それも大きな負担となっています。Cさんは引っ越しを考えているものの、2人で暮らしていた住まいから離れる決断はまだできていないとのことです。
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