ヒューリック杯棋聖戦第1局中盤情勢 静かな駒組みに互いの「らしさ」のぞく
将棋の藤井聡太棋聖(21)=竜王・名人・王位・叡王・王座・棋王・王将=に山崎隆之八段(43)が挑む「ヒューリック杯第95期棋聖戦五番勝負」(産経新聞社主催)の第1局は6日、千葉県木更津市の龍宮城スパホテル三日月で指されている。 【写真】藤井棋聖が選んだ昼食「はかりめ丼」 第1局ということで振り駒が行われ、山崎八段の先手番で始まった。 今シリーズ、藤井棋聖は5連覇が懸かる。達成すると棋聖通算5期となり、自身初の永世称号となる「永世棋聖」の資格を獲得する。数々の最年少記録を更新してきた藤井棋聖。永世棋聖の資格を獲得すると、中原誠十六世名人が持つ永世称号資格獲得の最年少記録、23歳11カ月を更新することになる。 中原十六世名人が達成したときは棋聖戦は1年に2期行われていた。現在の棋聖戦は1年1期制となっており、その中での最年少記録を更新する藤井棋聖の強さが改めて証明される。 一方の山崎八段は、15年ぶり2度目のタイトル挑戦。15年前に砕かれたタイトル奪取の夢を今シリーズに懸ける。 立会人の深浦康市九段の合図で午前9時、対局開始。先手の山崎八段が飛車先の歩を突き、居飛車を宣言した。対する藤井棋聖も、ルーチンのお茶を口に含め、飛車先の歩を進めた。戦型はお互いに得意とする相掛かりとなった。 お互いに駒組みを進める、静かな進行となった。駒組みにも互いの棋風が表れ、深浦九段は「山崎さんは自分が力を出しやすいように駒組みを進めている」と分析した。 対する藤井棋聖は後手番でもあり、深浦九段は「山崎八段の指し手に対して最善の形、自然体で対応している」とみる。深浦九段によると、その局面で最善手を指すことで自分の力が出しやすい形にするのが「藤井将棋」だという。 山崎八段が、正午からの昼食休憩を前に指した△7五歩は「山崎さんらしさが表れている手」(深浦九段)。この手を見た藤井棋聖が考慮中に昼食休憩に入った。 午前中は静かに進んだ第1局。夜の終局に向けて午後1時から対局は再開される。(田中夕介) ◇
対局はインターネット動画配信サービス「ABEMA」の将棋チャンネルでライブ放送。